東北電力がSAP S/4HANAを導入 背景には電力小売全面自由化による競争激化か

東北電力がS/4HANAの稼働を開始した。導入の決め手は何だったのだろうか。

» 2023年11月20日 11時51分 公開
[関谷祥平ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 SAPジャパンは2023年11月20日、東北電力が経理システムに「SAP S/4HANA」(以下、S/4HANA)を採用し、2023年3月より稼働を開始したと発表した。

S/4HANA導入の決め手と今後への期待とは

 SAPジャパンの発表によれば、日立製作所がシステム開発の導入ベンダーとしてS/4HANAの導入を支援した。東北電力では、電力の小売全面自由化以前に構築した業務システムが制約となり、従来の業務運営からの脱却が課題になっていた。電力システム改革の一環で、2016年4月1日以降は電気の小売業への参入が全面自由化され、家庭や商店も含む全ての消費者が電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになった。

 東北電力は「競争時代に対応した経営管理や持続的な業務効率化と安定運営を行うこと」を目的に、世の中の標準に合わせる方向で抜本的な変革を図るべきと考え「ERPパッケージを導入し、パッケージの標準機能に合わせた業務運用に変更すること」を新経理システムの構築方針とした。

 SAPジャパンの発表によると、東北電力はこのような背景から国内電力会社やグローバル公益業界の実績、豊富な標準業務プロセスがあり、リアルタイムでのデータ反映、システムの拡張などが可能なS/4HANAの導入を決めた。

 S/4HANAの導入で「情報のリアルタイム反映や一元化による経営管理の高度化および迅速化」「標準的な業務プロセスを採用することによる経理関連業務の効率化」「デジタル技術を活用した業務変革機会の向上」「働く場所の制約の排除による働き方改革への対応」などが期待できるという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ