“あらゆるレベルの開発者”が生成AI開発者に SAPが3つの新機能を発表

生成AIの台頭で、生成AIエンジニアの注目が高まっている。そんな中、SAPが3つの新機能を発表した。

[関谷祥平，ITmedia]

　SAPジャパンは2023年11月28日、全ての開発者を生成AI（人工知能）開発者にする3つの機能を発表した。これらはAIを活用してビジネスを成長させるために、あらゆるスキルレベルの開発者を支援するものだ。

“あらゆるレベルの開発者”が生成AI開発者に　SAPが3つの新機能を発表

　新たに発表された3つの機能は以下だ。

生成AIアプリケーション開発機能「SAP Build Code」

　SAP Build Codeは、AIを活用した開発者向けの生産性向上ツールだ。これは「SAP Business Technology Platform」（SAP BTP）のローコードソリューション「SAP Build」の進化版で、SAPが提供する統一されたツールによって、市民開発者やプロ開発者、IT部門間のコラボレーションが強化される。開発者は生成AIアシスタント「Joule」を使用してコードやデータモデルを生成でき、SAPソリューション向けの拡張機能などを開発できる。

生成AIでアプリケーション開発を高速化（出典：SAPジャパン提供資料）

SAP HANA Cloud向けのベクトルデータベース機能

　SAP BTPのデータベース管理基盤である「SAP HANA Cloud」は、追加コスト無しでマルチモデルオファリングに新しいベクトルデータベース機能を追加した。ベクトルデータストアによって、テキストや画像音声などの非構造化データを管理し、AIモデルに長期記憶とより適切なコンテキストを提供する。これによって、ユーザーは迅速に類似のオブジェクトを取得できるようになる。

　例えば、各サプライヤーが契約の中で使用する用語に基づいてサプライヤーを検索し、支払い履歴の調査や個別注文の追跡などが可能になる。

ベクトルデータベースの役割を表した図（出典：SAPジャパン提供資料）

AI Foundation on SAP BTP

　SAP BTP向けの「AI Foundation」は、開発者がSAP BTPでAIや生成AIを活用した拡張機能やアプリケーションを作成するための新しいワンストップショップで、開発者の影響力と効率性を高める。すぐに利用可能なAIサービスや新たに追加された「Generative AI Hub」を通して、トップクラスのLLM（大規模言語モデル）へのアクセスから、ベクトルデータベース機能、AIのランタイムおよびライフサイクル管理まで、さまざまな機能を提供する。

AI Foundation on SAP BTPの構造（出典：SAPジャパン提供資料）

　SAPジャパンは今後、既存のパートナーと協力しながらユースケースの提示を急ぐ予定だ。