AWSの新機能はどのくらいコスト効率が良いのか 次世代CPU、新ストレージクラス発表CIO Dive

直近のAWSの年次イベントでの発表は、クラウドコスト最適化に関連した話題が豊富だった。果たしてどの程度効果があるのだろうか。

» 2024年01月15日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 AWS(Amazon Web Services)は2023年11月28日、非営利団体FinOps Foundationの主要メンバーになってからわずか数週間後に、パフォーマンスの向上とコンピューティングコストの削減に繋がる製品とサービスを発表した(注1)。

 同社は、コストとパフォーマンスを最適化した次世代CPU「AWS Graviton4」を発表した。AWS CEOのアダム・セリプスキー氏は、2023年11月28日のイベント「AWS re:Invent 2023」の基調講演で「AWS Graviton4はメモリ集約型のワークロード対して最高のコストパフォーマンスとエネルギー効率を実現する」と述べた(注2)。

 またAWSはNVIDIAが新たに提供する「H200プロセッサ」をAWSのインフラに組み込むために同社との戦略的パートナーシップを拡大し(注3)、LLM(大規模言語モデル)とML(機械学習)ワークロードを処理する低コストなMLアクセラレータ「AWS Trainium2」を発表した(注4)。

クラウドコスト削減と最適化に余念がないAWS

 世界的にクラウドへの支出が増加し続ける中、AWSとそのパートナーのハイパースケーラー各社は、顧客のコスト管理を支援することでサービス満足度を維持してきた(注5)。

 クラウドの中心的な考え方である「より少ないコストでより多くのコンピューティング資源を」を実現することは、多くの組織にとって予想以上に難しい。SaaSには魅力的だが高コストな機能が増え、クラウド移行後に利用が増えるにつれ、IT部門はそのツケを払わされることになる(注6)。

 AWSは経済情勢が悪化した2022年、クラウドの過剰支出抑止を支援すると表明し、ワークロード最適化のサポートに優先的に取り組んでいる(注7)。

 新世代のチップを搭載した、より高速でコスト効率の高いデータセンターの処理能力は、セリプスキー氏が強調した幅広い改善策の一部だ。

 また、AWSはデータ分析業務を最適化する新しいストレージクラス「Amazon S3 Express One Zone」を発表。「S3 Standard」の半額で、コンピューティングにかかるコストとデータアクセス量を最大60%削減すると約束している。

 同社はさらに、データ量の変化や同時接続数、クエリの複雑さに応じてオートスケールするAI対応のクラウド・データウェアハウス・ソリューション「Amazon Redshift Serverless」のプレビューも発表した。同社の社内テストでは、これによりコストパフォーマンスが最大10倍向上したという(注8)。

 セリプスキー氏は最大の発表として、多機能な生成AIを搭載したエンタープライズ向けアシスタント「Amazon Q」も提供する予定だと語った(注9)。

 Amazon QはAWSのインフラとサービスについて詳細に学習しており、クラウドへの移行支援ができる他、ユーザーに適切な規模感のストレージとコンピューティング資源をレコメンドできる。

 「Amazon Qにワークロードを伝えるだけで、正確で迅速かつ経済的なインスタンスを勧めてくれる」とセリプスキー氏は話す。

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