マクドナルド、数千店舗にGoogle Cloudを導入 オペレーションを大幅改善へCIO Dive

米McDonald’sが「Google Distributed Cloud」を活用し、世界中にある店舗でデータ分析基盤を整備。クルーの業務負担軽減やサービスの質向上などの実現に向けて活用する。

» 2024年01月25日 12時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 米McDonald'sは「Google Cloud」を活用し、数千の店舗にクラウドベースのデータ分析環境を導入してAIソリューションを開発すると発表した(注1)。

 両社はハードウェアやデータ、AI技術などの分野で提携し、2024年には高性能な機器とAIプラットフォーム「Vertex AI」、マネージド・データベース・ソリューションを展開する「Google Distributed Cloud」の計算資源とストレージを各店舗に配備する。

 McDonald'sのエグゼクティブバイスプレジデント兼グローバルCIOを務めるブライアン・ライス氏は発表の中で、「世界中にある店舗をMcDonald'sが持つデジタルエコシステムの百万ものデータポイントに接続すれば、ツールの精度が上がり、モデルがより賢くなる上、店舗をさらに運営しやすくなる。そして最も重要なことは顧客とクルーの体験が改善することだ」と述べた。

店舗オペレーションやデリバリー注文の改善に期待

 モダナイゼーションは継続的なプロセスであり、強化された機能や新たなテクノロジーが社会実装されていくにつれて進化する。初期のマイグレーションでは、効率性と拡張性を向上させるためにサーバを中央集権化されたデータセンターに移動する形が主流だったが、技術の成熟に伴ってクラウドの範囲も拡大している。

 McDonald'sは、Google Cloudが管理するエッジサーバを社内に設置し、高速で遅延の少ないデータ分析の実現と、モバイルアプリや店内のセルフサービス機器などの顧客向けプラットフォームの強化を図る。各店舗ではクラウドベースのソフトウェアとAIソリューションを利用できるようになる。

 McDonald'sは2023年12月7日の発表で「今後は機器メーカーによる自動化のイノベーションを加速させ、店舗のゼネラルマネジャーがビジネスの停滞を減らすための解決策を素早く発見・実行できるようになる(注2)。さらにクルーの複雑な作業を減らし、より温かく新鮮な料理を提供できるなど、顧客の利益につながるだろう」と述べた。

 McDonald'sは2023年8月にGoogle Distributed Cloudを採用した最大の外食小売企業だ(注3)。ハイパースケーラーであるGoogle Cloudは2023年12月7日に「Gemini」シリーズのLLM(大規模言語モデル)を発表し、数週間かけてVertex AIに導入することを約束した(注4)。

 提携の一環として、Google CloudはシカゴのMcDonald'sのイノベーションハブ「Speedee Labs」の近くに専門チームを置き、生成AIのユースケースを模索する。

 McDonald'sは、2027年までに5万店舗を新規オープンし、ロイヤリティープログラムを2億5000万人のアクティブユーザーに拡大することを目指している。そしてその頃には、デリバリー注文の30%がモバイルアプリ経由になると見込んでいる。

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