フィールドサービスの管理はAIでこう変わる 5つのAI適用シナリオ

現場に出向いて作業を行うフィールドサービスを提供する企業は、AIを使えば自社のサービス管理をさまざまな方法で改善できる。本稿は管理の向上を目的にAIを使用するメリットと5つの代表的なシナリオを確認する。

» 2024年01月29日 08時00分 公開
[Biz Technology Solutions]

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 多くのシステムにAI(人工知能)が組み込まれ始めている。エンタープライズコンテンツ管理ソフトウェアや営業自動化ツールなどがその代表例だが、フィールドサービス管理(FSM)もAIが業務改善に役立つ分野の一つだ。

 FSMにAIを応用すれば、簡単に業務効率を向上させられ、顧客満足度も上げられる。管理者はカスタマーサービスに対する優れた洞察も得られる。

フィールドサービスの品質向上 AIをどの業務に適用させるか

 本稿では、AIを使ってフィールドサービス提供のオペレーションを改善する5つのシナリオを紹介する。

1.ナレッジマネジメントの向上

 フィールドサービスでは、以前に起きた同様の問題についての情報やエラーコードを現場で検索しなければならないことが多い。

 キーワード検索だけに頼らず、問題点をまとめたデータベースや製品マニュアルをAIを使って分析できれば、適切な回答を素早く見つけられるようになる。AIの自然言語処理はユーザーの検索用語やユーザーの意図を解釈するのに役立つ。

2.メンテナンスの改善

 エレベーターの部品や自動車部品などのパーツ類は過去のデータや製造仕様書を基に故障時期を予測できる。

 AIを使えば部品や機器のメンテナンス履歴を分析し、予測モデルを使って、故障が起こりそうな時期を予測できる。そうすれば先を見越して交換やメンテナンスのスケジュールを設定でき、顧客の業務を中断する機会を減らせる。

3.作業員の派遣とスケジュール設定の改善

 フィールドサービスの技術者は、現場作業の計画管理にスケジューリングツールを多用している。だが、現場作業に要する時間の見極めや次の現場の把握には苦労している状況だ。

 顧客で生じている問題や顧客の場所、必要な作業の種類を記載したリストをAIを使って分析すれば、現場までの最適経路や作業手順の割り当てを効率よく実施できるようになる。

4.電話回数の削減

 顧客や技術者はオフィスに電話をかけて、スケジュールや部品の利用可否、作業手順などの情報を問い合わせることが多い。FSMソフトウェアにチャットbotを接続すれば、顧客や技術者はWebベースまたはアプリベースのチャットインタフェースを使って情報を取得できる。

 チャットbotを導入すれば、カスタマーサービスへの問い合わせ電話が減るなど、オフィスの従業員の作業量も減らせる。

5.データ分析の向上

 AIを使って作業指示の履歴やスケジュールの履歴などのデータを分析すれば、投入する人員を調整するといった変更を管理職が加えられる可能性がある。

 FSMソフトウェア内に保存されているデータにAIモデルを適用すれば、今後のサービス要求を予測し、特定の部品について大量の修理要請がありそうだといった問題を見極めることができる。

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