AI時代の軸「データ」はどう扱うべきか Just Worksなインフラに求められるものは(2/3 ページ)

» 2024年02月27日 08時00分 公開
[齋藤公二インサイト合同会社]

散らばるデータを仮想的に統合して管理する必要性が高まる

 2つ目は「データサイロの解消」だ。データのサイロ化をどう解決するかは、データ活用の永遠のテーマといえるものだが、ネットアップでは2024年にこの課題が解消に向かい始めると予測する。AIなどの新しい技術の登場により、データ統合に対するニーズがこれまでになく高まるためだ。

データサイロの解消(出典:ネットアップ発表資料)

 「AIを含む機械学習の技術を生かすにはデータ収集や活用が欠かせない。システムは、それぞれの業務をまたぐ形で仮想的かつ透過的に配置され、どんなデータがどこにあってどう活用すればよいかを把握することが求められる。統合データプラットフォームを構築することで、データが物理的に散在していても、サイロ化するのではなく単一的に取り扱えるようになると考えている」(神原氏)

 ネットアップは、このトレンドに対してストレージとデータを一元的に管理する「NetApp BlueXP」を提供して対応する。ハイブリッド/マルチクラウドのデータ資産を一括で管理する仕組みだ。

 神原氏はデモを見せながら「データ資産をドラッグ&ドロップでコピーして利用でき、複数の業務システムを横断的に管理できる。ネットアップは以前から『データファブリック』という概念でデータをどこからでも管理するアプローチを提唱してきた、NetApp BlueXPはデータファブリックを実現するソリューションだ」と述べた。

 実際に国内のある半導体設計企業では、日本国内2拠点と海外2拠点をクラウドでつなぐデータファブリックを実現しており、1つの製品の設計に800TBを超えるデータを活用できる環境を整えているという。

「ちゃんと動く」ITでスムーズなハイブリッド環境環境へ

 3つ目は「『ちゃんと動く』(Just works)ITにフォーカスする」だ。「ちゃんと動く」というのは「IT機器がきちんと稼働する」「サービスが適切に利用できる状態になる」といったニュアンスで、ITを当たり前のものとして利用できる状態を指す。

「ちゃんと動く」ITにフォーカス(出典:ネットアップ発表資料)

 「そもそもインフラは動いて当たり前だが、ちゃんと動くシステムを自前で構築するのは意外と大変なことだ。当たり前のように業務でクラウドサービスを利用するようになると、オンプレミスのシステムもクラウド同様に動くことが当たり前だと考えられるようになってきた。クラウドと同等の稼働をオンプレミスでも求められるようになる」(神原氏)

 ネットアップが実施した調査「2023年 クラウドの複雑性に関するレポート」(2023 Data Complexity Report)でも、99%の企業がクラウドに移行中であるものの、各企業が扱うシステムのうちオンプレミスのワークロードが76%に達するなど、クラウドをハイブリッド環境で適材適所で使い分けるトレンドが主流になっている。

 「お客さま自身も、ちゃんと動くITを自分たちで組み上げるアプローチを避けるようになってきた。オンプレミスにちゃんと動くシステムを作り、それをサブスクリプションで利用したいというニーズも増えている。ネットアップでは、クラウドと同様のエクスペリエンスを備えたストレージサービスをオンプレミスでサブスクリプションで型で利用できる『NetApp Keystone』を提供しており、国内企業での採用も進んでいる。国内で最初に導入したのは医療機関だった。インフラ管理を専門家にまかせつつ、セキュアに最先端の技術を採用したいという意向があった。また、製造業、特に自動車業界では、データの長期保管やサステナビリティ、データドリブン経営を実現するためにサブスクリプション型のストレージを採用されたケースもある」(神原氏)

スムーズなクラウド連携を(出典:ネットアップ発表資料)

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