Mastercardが中国進出 巨大なクレジットカード市場の覇者となれるかPayments Dive

Mastercardが中国でクレジットカードのサービスを提供する準備を進めている。中国のユーザーは国内外を旅行する際にMastercardのカードを利用できるようになり、中国以外から見てもビジネスチャンスにつながる可能性がある。

» 2024年03月07日 08時00分 公開
[Lynne MarekPayments Dive]
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 Mastercardのマイケル・ミーバックCEOは2024年1月31日(現地時間、以下同)、経済大国である中国での迅速なサービス展開に向けて準備を進めていると述べた。

 ニューヨーク州パーチェスに本社を置く米国2位のカードネットワークである同社は、2023年11月に中国国内でサービスを提供する合弁事業の認可を取得している(注1)。この承認からサービス開始までの期日が6カ月以内とされているため、2024年上半期に中国でサービスを開始する。

 ミーバック氏は2023年第4四半期決算に関する電話会議で「当社は現在、中国のパートナー企業や銀行、加盟店管理会社、発行会社などと協力して、カード発行側だけでなく受け入れ加盟店側での展開について議論を続けている。当社は長年にわたり中国との国際間取引を強化しており、銀行との強固な関係を築いている」と述べた(注2)。

加盟店との強力なネットワークを生かし、巨大な中国市場の取り込みを狙う

 Mastercardの2023年11月20日付のプレスリリースによると、同社は中国の国家オンライン取引処理機関であるNetsUnion Clearing Corporation(NUCC)とMastercard NUCC Information Technologyを設立し、中国での事業許可を得た(注3)。

 Mastercardの新サービスにより、中国のユーザーは中国国内だけでなく国外を旅行する際にもカードを利用できるようになる。「中国は巨大な経済圏であり、われわれは中国にサービスを提供するのに有利な立場にあるだろう」とミーバック氏は先の電話会議で述べている。

 だが同氏はこのようなサービスを提供しているのが自社だけではないことも認めている。「このような提案をしている競合他社はあるが、当社はエンド・ツー・エンドのソリューションを提供するために、より優れた受け入れ加盟店のネットワークを持っている」と強調した。

 同社は2020年2月に中国国内取引向けの銀行カード決済処理の初期承認を得て以来、合弁事業の活動に関する最終承認を待っていた。

 American Expressの合弁会社は2020年6月に中国当局から同様の承認を得ており、同国での事業拡大を目指してきた(注4)(注5)。一方、米国最大のカードネットワークであるVisaも中国での事業展開について同様の承認を得ようと尽力しているが、まだ許可が降りていない。

 「当社が現在銀行と良好な関係を築けていることは、スピード感を持って事業を展開するうえで有利に働く。しかし最初から完全なサービスを提供できるとは考えておらず、最初の6カ月以内に本稼働できるのは一部のエリアに限られるだろう。中長期的に最大限の効果を得るためには、時間をかけてサービスを構築していく必要がある」とミーバック氏は語った。

 Mastercardの2023年の発表は、ジョー・バイデン大統領がサンフランシスコで中国の習近平国家主席と会談した後のことだった。会談後、ホワイトハウス(米連邦政府)は2023年11月15日に声明を発表し、両国は金融問題を含む重要な分野でフォローアップを行うと述べている(注6)。

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