小野薬品工業、臨床試験のグローバル一元管理にオラクルのCTMSを導入

小野薬品工業は、日本と海外の規制要件などの違いから、国内外で2つのCTMSを保有していた。そこで同社は、新たなCTMSを導入した。その取り組みとは。

» 2024年03月18日 07時00分 公開
[大島広嵩ITmedia]

 小野薬品工業は、日本と海外の規制要件などの違いによって国内外で2つのCTMS(クリニカル・トライアル・マネジメント・システム)を保有し、手動で項目やフォーマットを調整していたため管理に多くの工数がかかっていた。

 そこで同社は、新たなCTMSを導入し、臨床試験情報およびモニタリング活動のグローバルな一元管理を実現し、管理工数の大幅な減少を見込んでいる。その取り組みとは。

グローバルと国内の情報をどう一元管理した

 日本オラクル(以下、オラクル)は2024年3月15日、小野薬品工業がデジタル・トランスフォーメーション(DX)戦略の一環として、臨床試験のIT基盤にオラクルのCTMSである「Oracle Life Sciences CTMS Cloud Service」を導入したと発表した。

 医薬品開発のIT基盤は、ビジネスの効率的や、DX戦略で重要になる整合性のとれた最新データの供給を可能にする。小野薬品工業では臨床試験の多様化が進み、さらにはグローバルでの大規模な臨床試験も増加する見込みだ。そこで、モニタリング活動や臨床試験の情報をタイムリーで効率的に管理する必要があった。

 オラクルのCTMSは、小野薬品工業のグローバルでの臨床試験の進捗(しんちょく)管理と、既存の他システムとの連携によって、臨床試験の品質と効率を向上させ、社内システムに蓄積されたデータを活用して潜在的なリスクの予測や試験の成功確率を高める。また、モニタリング業務のワークフローを標準化し、データをリアルタイムで可視化し業務効率を向上させる。

 臨床試験情報管理のための標準モジュールとオプションであるアクセラレータによって詳細な要件を実装することや、APIにより他システムと柔軟に連携することが可能だ。また、オプションのCDA(Clinical Data Analytics)によってKPI(Key Performance Indicator)とKRI(Key Risk Indicator)をリアルタイムで可視化、分析することもできる。

 小野薬品工業は、国内外のCTMSを保有し、管理に多くの工数がかかっていた。オラクルのCTMSは日本本社で必要としている要件を満たし、グローバルでも利用できるため、1つのシステムで効率的に臨床試験を管理でき、作業工数の削減や正確で迅速な意思決定できる。

 Oracle Health & Life Sciencesのシーマ・ヴァーマ氏(エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラルマネジャー)は次のように述べた。

 「小野薬品工業は効率とデータ駆動型の意思決定に焦点を当てたグローバル臨床試験の管理における変革を進めている。オラクルの包括的なCTMSを導入することにより、既存システムとシームレスに統合可能な最先端のソリューションを実装できた。また、さまざまな試験においてクリニカル・オペレーションを合理化し、リアルタイムでデータにアクセス可能になった。データの可視化は臨床試験の潜在的なリスクを積極的に特定し、戦略的なビジネス判断を下すために不可欠だ。オラクルのCTMSが単なるツールではなく、革新的かつ効果的な臨床試験管理に向けた小野薬品工業のパートナーとなることを期待している」(ヴァーマ氏)

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