あるデータによると、2023年に従業員数1000〜2000人規模の企業は平均で約5億円を、2001人以上の規模の企業は6億4千万円を無駄にしている。知らず知らずの間に膨れ上がる「無駄金」は、一体何に使われているのか。
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IT支出を管理するサービスを提供するVertice Technologyによると、企業は実際には使われていないあるものに年間数百万ドルを「浪費」している。しかも、企業規模が大きくなるほど、この費用は膨大になっているという。人件費に次ぐ規模になっている“あの費用”とは何か。
Vertice Technologyが提供したデータによると、従業員数1000〜2000人規模の企業では2023年に平均330万ドル分のSaaSライセンスが使われておらず、利用料金が無駄になったという。従業員数が2000人を超える企業の場合、無駄になったコストは430万ドルに上った。
「多くの企業にとって、ソフトウェアの利用料金は給与に次ぐ大きな出費となっている。CFO(最高財務責任者)は無駄なSaaSを特定し、排除するために明確な計画を策定することが急務となっている。1社当たり平均で126のSaaSツールを導入しているが、そのいずれかが浪費の原因になっている可能性がある」とVertice Technologyのエルダー・トゥヴェイ氏(CEO)は電子メールで述べた。
Gartnerによると、パブリッククラウドサービスに対する世界のエンドユーザーの支出は、2023年の5636億ドルから2024年には20.4%増の6788億ドルになると予測されている(注1)。
Vertice Technologyは以前、SaaSベンダーの4分の3近くに相当する73%が2023年に価格を引き上げ、ソフトウェア支出総額を過去最高に押し上げたと報告した(注2)。
最近の同社のブログ記事ではSaaS管理のもう一つの課題として、従業員が情報システム部門の承認を得ずにツールを導入する“”破天荒な購入”が増加していることを取り上げている(注3)。この問題は「シャドーIT」とも呼ばれている。
「従業員が以前の職務で使い慣れたツールを使い続けていたり、新規調達のための確立されたプロセスを知らなかったりする可能性がある。従業員がほとんど使用していない、または全く使用されていないSaaSライセンスは平均して30%以上にも上る。これらの問題を特定して対処すれば、大幅なコスト削減が可能だ」と、Vertice Technologyのサラ・モネット氏(パートナーシップ責任者)はブログ投稿で述べている。
組織内で監督されていない、あるいは承認されていないITの購入は、支出がコントロールできないことに加え、セキュリティリスクやコンプライアンス上の問題を引き起こす可能性があるとモネット氏は指摘する。
「このようなリスクを軽減するためには、社内の全てのIT利用状況を包括的に可視化する必要がある。企業は新規ソフトウェア購入の要求や評価、承認に関する明確な社内ガイドラインの確立を検討すべきだ」(モネット氏)
(注1)https://www.gartner.com/en/newsroom/press-releases/11-13-2023-gartner-forecasts-worldwide-public-cloud-end-user-spending-to-reach-679-billion-in-20240(Gartner)
(注2)SaaS prices jump 12% on average: Vertice(CFO Dive)
(注3)SaaS user management: The key to understanding software utilization(Vertice Technology)
(初出)‘Maverick’ SaaS spending by workers can waste millions: Vertice
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