大阪ガスが全社データ基盤をフルクラウド化 移行のポイントとは?

大阪ガスは全社で利用していたデータ基盤をオンプレミスからクラウドへ移行した。大規模データウェアハウスの移行先や、移行で工夫したポイントとは。

» 2024年03月26日 07時00分 公開
[大島広嵩ITmedia]

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 大阪ガスは2010年、全社で利用しているデータ基盤「Data Utilization Support & Help」(以下、DUSH)の中核を担うデータウェアハウスを「Oracle Exadata」で構築し、経営や各事業部の意思決定の迅速化、従業員によるデータ活用を推進した。

 2020年にDUSHの更改を開始し、2024年2月に新環境をクラウドで稼働した。大規模データウェアハウスの移行先や、移行で工夫したポイントとは。

大阪ガスの新データ基盤と移行の工夫

 日本オラクルとアシストは2024年3月25日、DUSHのデータウェアハウスを「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に刷新したと発表した。

 大阪ガスは、2020年にDUSHの更改するに当たり、約6000のテーブルと4000前後の処理を担うデータ分析基盤として、これまで利用してきたOracle Exadataと同等の性能を実現できることや、「Oracle Database」をクラスタ化する「Oracle Real Application Clusters(RAC)」をクラウドで実現して最小限のデータベースの変更で移行が可能なことからOCIを採用した。また、柔軟なリソースの増減、自律機能による運用自動化を評価し「Oracle Autonomous Database」を採用した。他にも、約20TB規模のデータウェアハウスの移行を短い停止時間で実行するため、大規模なデータをリアルタイムで移動できる「OCI GoldenGate」を採用した。

 開発期間中はクラウドのメリットを生かし、ストレージ容量を段階的に増加させ、稼働後は自動スケーリングで利用していない時間のリソースを縮退させ、コスト最適化を実現した。ライセンスのサポート費用を低減可能な「Oracle Support Rewards」も活用してコストを削減した。2024年2月の本番切り替え後は、オージス総研とアシストが運用支援、継続的な技術サポートを実施している。

 運用管理では、Oracle Autonomous DatabaseのSQLチューニングやパッチ適用などの機能によって、オンプレミスでは必要だった性能劣化やアラートへの対応が不要となり、運用工数の削減とセキュリティ強化にもつながった。Oracle Exadataを利用したい時にすぐ使える点も、Oracle Autonomous Databaseの評価ポイントとなった。

 大阪ガスの岡村智仁氏(次世代DUSH構築プロジェクトチーム マネジャー)は以下のようにコメントした。

 「大阪ガスは、長年にわたり全社でのデータ利活用に注力しています。(旧データ分析基盤を)ビジネス変化に対して柔軟に拡張、増強できるデータ分析基盤に刷新する上で、システムの特性や要件に合った運用環境を活用し、最適化しました。Oracle Autonomous Databaseを選定したことで、オンプレミスと同等の性能と、これまで利用してきたBIツールとの連携を維持しながら、機動性に優れたデータ基盤へと進化させられました。今後は、AIも含めOCIの機能の活用に取り組み、社内のデータ利活用をさらに促進します」

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