IDCによると、2023年の国内ITサービス市場は13年ぶりに前年比5%超の高成長を記録した。市場拡大のけん引役となっているのは何か?
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IDC Japan(以下、IDC)は2024年4月4日、国内ITサービス市場予測を発表した。
2023年の国内ITサービス市場は、前年比6%増で6兆4608億円となった。IDCによると、同市場が5%を超える成長を遂げたのは、2010年以降では初めてだという。
2023年の国内ITサービス市場は、国内企業のデジタルビジネス化に向けたマイグレーションやモダナイゼーション、デジタルイノベーションの実装に向けた需要がいずれも活発だったことから、好調に推移した。
中でも好調なのが、ITコンサルティングやSI(システムインテグレーション)などを含むプロジェクトベース市場だ。大企業による大型プロジェクトの実装フェーズへの移行、クラウド移行やモダナイゼーションといった案件が貢献したとIDCは分析する。
産業分野別に見たITサービス支出のけん引役は次の通りだ。
2024年以降も全体として好調は続くとみられる。2023〜2028年のCAGR(年間平均成長率)は4.8%で拡大し、2028年の市場規模は8兆1495億円になるとIDCは予測する。既存システムのモダナイゼーション、さらにデジタルイノベーションの創出に向けたシステムの両領域で需要が活発化していることが背景にある。こうした需要によって、プロジェクトベース市場がより高い成長を遂げるというのが同社の見立てだ。
2028年までの国内ITサービス市場は、既存システムのクラウドへの単純移行からアプリケーション領域のモダナイゼーション、顧客企業全体のデジタルビジネス化、基幹ITとデジタルイノベーションプラットフォームの統合へと徐々にその成長エリアを移しつつ、全体として好調に拡大するとIDCではみている。
一方で、懸念材料もある。ITサービスを提供する人材の不足や、モダナイゼーション案件における受注時採算の想定の困難さなどが成長を阻害する可能性がある。
IDCの植村卓弥氏(Software & Services グループマネージャー)は、こうした市場推移とITサービスベンダーの対策について、次のように説明する。「国内企業は全社的なデジタルビジネス化に向け、既存システムのモダナイゼーションと、デジタルイノベーションを創出する新規システムへの投資を拡大している。一方で、従来型ITへの支出は減少が続く。ITサービスベンダーは需要増への対応に追われるだけでなく、こうした市場変化に適応した能動的な事業ポートフォリオの転換を進める必要がある」
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