CEOらの7割が「2024年のビジネス成長機会」と認識 ガートナー調査で浮かび上がった“あの項目”

ガートナーのグローバル調査によると、世界のCEO、上級経営幹部層の69%が「ある項目」について、「2024年の主要なビジネス成長機会」と捉えていることが分かった。一体何か。

» 2024年06月11日 07時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 ガートナージャパン(以下、ガートナー)は2024年6月7日、2023年7〜12月に実施した「2024年 CEO/上級経営幹部調査」の結果結果を発表した。

 同調査によると、世界のCEOおよび上級経営幹部の69%がある項目について「2024年の主要なビジネス成長機会として捉えている」と回答したという。この回答の割合は、アジア太平洋地域(APAC)のCEOに絞ると、79%に上る。

「2024年におけるビジネス成長機会」とは?

 同調査は北米や欧州、アジア太平洋、中南米、中東、南アフリカの地域における各種業界、規模の企業に属するCEOおよび上級経営幹部を対象として実施され、400人以上から回答を得た。

 「ある項目」が世界中のCEOや経営幹部からビジネス成長機会と捉えられている理由は何か。ガートナーのクリスティン・モイヤー氏(ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト)は、次のように解説する。

 「CEOが長期戦略の立て直しを図る中、環境のサステナビリティーは依然として、競争上の差別化要因の一つになっている。企業による『グリーンウォッシュ』(環境への配慮のアピール)が盛んであるにもかかわらず、昨今の経済状況が引き金となってESG(環境、社会、ガバナンス)への懐疑的な見方が再び高まり、いかなる犠牲を払っても利益を重視するという風潮が戻ってきている。一方で、CEOのサステナビリティーに対する決意は揺るぎないものとなっている」

 さらにモイヤー氏は次のように分析する。「サステナビリティーは、ビジネスにおける優先課題のトップ10に常にランクインしている。今回の調査では生産性向上や効率化を上回っている。リーダーや投資家は、環境に関する思慮に欠けた企業行動がビジネス成果における中長期的なリスクになると認識している。環境的な要素を他人事として軽視していると、大きな代償を払うことになる。賢明なCEOは、サステナビリティーの課題を解決することが、新たなビジネス機会を生み出すことに気付いている」

持続可能なビジネス成長に注目

 同調査によると、CEOがビジネスの成長を促進するために重視するサステナビリティーとして、「持続可能なプロダクトとサービス」(33%)、「持続可能なビジネスプラクティス」(18%)、「ステークホルダーのエンゲージメント」(18%)、「脱炭素化」(18%)が上位を占めた。「デジタル投資とイノベーション」(8%)は9位にランクインにした。

ビジネスの成長を促進するための環境のサステナビリティー(出典:ガートナーのプレスリリース)

 「デジタルテクノロジーはサステナビリティー目標の達成に向けた歩みを促進し、コンプライアンスへの対応にとどまらず、企業の目標達成や新しいビジネスモデルの実現、収益源の開拓を可能する」(モイヤー氏)

 ガートナーによると、デジタルテクノロジーは、財務とサステナビリティーの両方の成果を推進する上で重要な役割を果たす。IoT(モノのインターネット)やデータ、アナリティクスは、風力発電機による発電を最適化することによってコストと温室効果ガス(GHG)排出量の削減を図る。AIとIoTは、食品ロスに伴うコストと廃棄物の削減を図る。サーキュラーエコノミー(循環型経済)のマーケットプレースは、売り上げを生み出しながら廃棄物を削減するとしている。

気候変動に伴うアジェンダの変更も考慮

 同調査によると、CEOらの54%が「気象パターンの変化によって自社ビジネスは(少なくとも中程度の)影響を受けている」と考えていることが明らかになった。回答者の51%は「気象パターンの変化が原因でビジネスオペレーションの変革を計画しているか、既に実行している」と答えた。

 モイヤー氏は「CEOは気候変動が気象パターンの変化を引き起こしていると捉えており、気象パターンの変更によってビジネスオペレーションに直接的な影響が及んでいる。必要なのはビジネスオペレーションの適応だ。特にサプライチェーンにおける力関係が変化する中では、テクノロジーは変革のために重要な役割を果たす」

 気象パターンの変化によって企業はどのような影響を受けているのだろうか。同調査では「ビジネスのダイナミクスの変化」(30%)が最も多くの回答を集めた。具体的に影響を受けている項目として第は「配送品の保管やタイミング、ルーティングといった物流における変化」が第1位で、「ニアショアリングを含む移転」(14%)、「自動化、テクノロジー、データ」(13%)が続いた。

 国内企業のCIOやエグゼクティブリーダー向けに発信しているガートナーの片山博之氏(バイス プレジデント アナリスト)は、「日本企業でもサステナビリティーの実現は企業価値を高めるために必要不可欠な戦略の一つとなっている。環境配慮のアピールだけでなく、デジタルテクノロジーを活用して自社のビジネスや社会に対して実質的なインパクトを与えることが、CIOにとって経営価値を高めるために今後重要になるだろう」と指摘した。

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