NVIDIA、Intelらの戦略をまとめて紹介 苛烈さ増す「AI特化プロセッサ戦争」CIO Dive

AIブームによってデータセンターが増設され、各メーカーからAI PCが発売される中、半導体メーカーが次々に今後の展開を発表している。半導体のシェア争奪戦の行方を占う。

» 2024年07月10日 12時40分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 AIに最適化された半導体チップの開発競争は激化している。

 NVIDIAは、台湾で開催された「台北国際コンピュータ見本市」(COMPUTEX TAIPEI 2024、2024年6月2日《現地時間、以下同》開催)の基調講演でより優れ、より高速なAIプロセッサを展開し、世界的な競争における取り組みを強化する意向を発表した。

NVIDIA、Intelらの戦略は? 

 NVIDIAのジェンスン・フアン氏(社長兼CEO)は、最新のAI向けGPU製品「NVIDIA Blackwell」に続き、2025年、2026年に発表する予定の製品名について次のように明かした。

 フアン氏によると、2025年には「Blackwell Ultra」、2026年には「Rubin」を発表するという(注1)。

 ライバルの半導体メーカーAdvanced Micro Devicesは2024年6月2日、「Zen 5」を採用した新世代のNPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)PCプロセッサ「AMD Ryzen 9000シリーズ」を発表した(注2)。同社によると、大手メーカーのAcer、ASUSTeK Computer、Hewlett-Packard(HP)、Lenovo Group、Micro-Star Internationalは既にAMD Ryzen 9000シリーズを組み込んだPCの製造を計画しているという。

 LLM(大規模言語モデル)がIT業界を席巻する中、NVIDIAはその恩恵を享受している。

 半導体メーカーが開発するGPUに対するハイパースケーラーの需要の高まりにより、2024年4月28日までの3カ月間におけるNVIDIAの売上は260億ドルに達した(注3)。クラウドサービスプロバイダーによるNVIDIAプロセッサの需要が、同社の中で最も大きな割合を占めるデータセンター部門の売上高を前年同期比427%増の226億ドルに押し上げた。

 GPUの“巨人”であるNVIDIAはGPUの最新製品の販売を拡大するために奔走しているが、フアン氏は半導体技術を毎年進歩させるというコミットメントを改めて表明した。

 「当社の基本的な方針は非常にシンプルだ。データセンター全体をスケールアップして構築し、それを分割して1年ごとに部品として販売することだ」(フアン氏)

 同社はまた、AI PC市場への進出も迅速に進めている。ASRock RackやASUSTeK Computer、Gigabyte Technology、その他多くのコンピュータメーカーがクラウドベースやオンプレミス、エッジデバイスにNVIDIAのGPUを組み込んでいると発表した。

 Gartnerは、AIに最適化されたPCが2026年までに企業向けコンピュータ市場を支配すると予測している(注4)。同社によると、2024年のチップ売上高は前年比33%増になるという。

 NVIDIAの競合であるIntelもシェア拡大を狙っている。同社は2024年5月、「Lunar Lake」という新しいPCプロセッサを発表した(注5)。2024年第3四半期に出荷されるこのプロセッサは、2024年5月に発表されたMicrosoftの「Copilot+ PC」シリーズなど、20社以上のPCメーカーの80以上の新しいノートPCに搭載される予定だ(注6)。

 AIのワークロードは依然としてCPUで実行されている。CPUは汎用(はんよう)コンピュータの主力製品であり、Advanced Micro DevicesとIntelのビジネスの中核だ。2024年6月2日の発表によると、この両メーカーは、モジュール式リファレンスデザイン「NVIDIA MGX」やRAG(検索強化生成)、データ処理プラットフォームに対してCPU設計を提供することに合意したという。

 フアン氏はハードウェアの開発コストを相殺するために、処理速度と効率の向上に注力している。

 「われわれは計算能力のインフレを目の当たりにしている。企業はクラウドでデータを処理するために何億ドルも費やしているが、当社の製品を使うことで今後その膨大な“損失”を取り戻せるだろう」(フアン氏)

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