ABI Researchの調査によると、2023〜2028年までの間にOTセキュリティの支出は約70%増加する見込みだ。サイバー攻撃者たちがOT領域を標的にする背景には何があるのだろうか。アナリストが分析した。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
ABI Researchが2024年6月27日(現地時間)に発表したレポートによると(注1)、2023〜2028年までの間に、OTセキュリティの支出は約70%増加し、世界全体で216億ドルに達する見込みだ。2023年の同分野における支出は127億5000万ドルだった。
ABI Researchのマイケル・アミリ氏(シニアアナリスト)は、電子メールで「攻撃と規制が支出を促進している」と述べた。
OTを守るための支出の半分以上は、ネットワークセキュリティとセグメンテーションに充てられる。アミリ氏は「セグメンテーションはOTセキュリティを維持し、業界における業務継続性を維持するために重要な要素であり、この5年間で全体の支出の27%を占めるようになる」と述べている。
ABI Researchによると、OTセキュリティの業界は毎年9%以上の成長を遂げ、2028年には216億ドルに達すると予想されている。
OTを守るための支出の増加は、飲料水やエネルギー、農業、製造業などの業界において、インターネットに接続されたデバイスを標的とした攻撃がエスカレートしていることに関連している(注2)。
攻撃者がOTを標的にする背景には、複数の動機がある。アミリ氏によると、OTは継続性が求められるものであり、同業界は歴史的に防御が脆弱(ぜいじゃく)だという。そのため攻撃を受けやすく、身代金の要求にも応じやすい。
ABI Researchによると、サイバーリスクの高まりと業界における接続要件の増加は、IT支出の一部をOTやIoTに割り当てるよう企業を促す可能性があるという。これにより、OTやIoTに関する支出が最終的にIT支出を上回るかもしれない。
「これまでOTに関する支出は、IT支出全体と比較して非常に小さなものだった。この状況は間違いなく変わるだろう」(アミリ氏)
OTの環境にリモートアクセス制御のメカニズムを導入している事業者は、支出がトップクラスに多い組織だ。鉱業や採石、石油およびガス採掘、公共事業、製造業などがOTを守るための支出の増加に拍車を掛けている。
© Industry Dive. All rights reserved.