DXで後れを取る「地方企業」の特徴は? IDC調査で判明

IDCによると、深刻な人手不足を背景として大都市圏以外でもDXの取り組みが拡大している。その中でも取り組みが低調な地域に多い企業の特徴とは。

» 2024年10月04日 07時00分 公開
[金澤雅子ITmedia]

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 IDC Japan(以下、IDC)は、国内企業における「第3のプラットフォーム」市場の支出動向とDX(デジタルトランスフォーメーション)への取り組み動向に関する調査結果(注1)を基に、大都市圏と地方におけるデジタル化やDX推進の取り組み状況を分析し、地方企業における課題を明らかにした。

DXで後れを取る地方企業の特徴は? 

 国内第3のプラットフォーム市場とはクラウドやモバイル、データアナリティクス、ソーシャル技術に関連するICT市場を指す。同市場は2024年以降も高い成長率で拡大するとIDCは予測する。

 第3のプラットフォーム市場はデジタル化やDX推進に欠かせない要素であることから、同市場の拡大はすなわち日本企業のデジタル化やDX推進の取り組みが拡大しているとみてよさそうだ。ただし、地域によって違いがあり、DX推進の取り組みが低調な地域には「ある課題」を抱えた企業が多い傾向にあるとIDCは指摘する。DX推進の足かせになる課題とは何か。

 国内の第3のプラットフォーム市場でプラス成長が見込まれる中、特に大都市圏では、第3のプラットフォームソリューションを積極的に採用してDXに取り組む大企業、スタートアップ企業が数多く存在する。大都市圏では大手ベンダーによる情報提供や導入支援を受ける機会が多いことから、企業規模を問わずクラウドやRPA(Robotic Process Automation)、AIなどを中心に第3のプラットフォーム支出が拡大しているとIDCは見ている。

2024年〜2025年の国内第3のプラットフォーム市場地域別前年比成長率予測(出典:IDCのプレスリリース)

 地域別にみると、大都市圏以外の北海道・東北や北陸・甲信越、中国・四国、九州・沖縄でも、第3のプラットフォームソリューションの支出は小幅ながらプラス成長で推移するとIDCは予測する。

 これらの地域に拠点を置く企業は、これまでデジタル化を推進するリソースやノウハウの不足などの要因によって支出が停滞していたが、人材不足の深刻化によって生産性向上を目的とした第3のプラットフォームへの支出が拡大しているという。

 特に北海道・東北や九州・沖縄では主要都市の大規模開発や大手製造業の大規模生産拠点の設置をきっかけとして経済が活性化している。こうした動きを受けて、幅広い業種で投資が喚起され、第3のプラットフォームの支出が拡大するとIDCは分析する。

 地域別にDXの推進状況を整理すると、東京都や関東地方(東京都を除く)などを中心とした大都市圏ではほとんどの企業が全社を挙げたDXの取り組みを開始している。大都市圏以外では北陸・甲信越と九州・沖縄でも大半の企業が取り組み始めている。

 一方で、北海道・東北や中国・四国でDXに着手する企業は一部にとどまっている。課題としてはノウハウや人材の不足、リーダーシップの不足などが顕著だが、特にDX推進が低調な地域では、「企業文化や慣習が取り組みの障害となっている企業が多い傾向がある」とIDCは指摘する。

 ただし、大都市圏以外の地域でも第3のプラットフォーム支出が拡大していること、一部の地域を除いてDXに着手する企業が過半数に達していることから、IDCはデジタル化やDX推進の取り組みは地域を問わずに拡大傾向にあるとみている。

 IDCの市村仁氏(Verticals & Cross Technologiesのシニアリサーチマネージャー)は、「デジタル化やDXを円滑に推進するためには、自社だけではなく、地方自治体や地域の金融機関などと連携してDX推進に抵抗する企業文化や慣習の改革を促すことが重要だ。そのために他の企業や団体との情報共有を可能にするプラットフォーム構築に注力すべきだ」と指摘する。

(注1)IDCが2024年2月に実施したユーザー調査。同調査を基にしたレポート「2024年国内IT市場SMB、地域別における第3のプラットフォーム市場、DX向けIT支出動向分析」も発行されている。

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