DropboxからあらゆるデータをAI検索可能に ストレージサービスは「本来の役割」を取り戻せるか技術トレンド

DropboxはAI搭載型ユニバーサル検索ツール「Dropbox Dash for Business」を発表した。分散化された情報を一元的に管理し、各種のビジネスアプリと連携して迅速な検索結果を提供する。

» 2024年10月22日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 1社あたり数十ものSaaSを利用することが当たり前になりつつあるが、その分、情報の網羅的な検索が難しくなり、日々の業務の負担が増している。各SaaSが提供するAPIと生成AIを駆使した情報探索ツールでそれを補おうとする向きもあるが、ストレージサービスがその機能を提供する。

 Dropbox Japanは2024年10月17日、AI搭載型ユニバーサル検索ツール「Dropbox Dash for Business」を発表した。このツールは分散化されたクラウドアプリや電子メール、ファイルなどの情報を一元的に検索し、ナレッジワーカーが業務で必要とする情報を迅速に見つけ出すことを目的としている。米国では既にサービスが開始されており、2025年初頭には他の市場にも展開予定とされる。AI導入を望む日本のナレッジワーカーにとって、効果的なツールとなることが期待されている。

Meet Dash for Business, AI-powered universal search for teams|Dropbox Blog(出典:DropboxのWebサイト)

ナレッジワーカーの大半がAIを使った情報探索をできていない問題を打開

 Dropbox Dash for Businessは「業務に必要な情報が見つからない」という企業が抱える問題を解決するために提供されており、既に米国でサービスが開始されている。2025年初頭には他の地域でも提供が開始されることが発表されている。

 情報の分散化とオンライン化が進む現在の職場環境は、クラウドアプリやAIツール、Webブラウザーのタブなどに情報が散在し、サイロ化されてしまっている。ナレッジワーカーは電子メール、共有ファイル、クラウドアプリを横断して情報を探すことになり、情報収集に時間を費やしている。Dropbox Dash for Businessはこの問題を解決するために設計されており、各種ビジネスアプリのハブとなることで1カ所で複数アプリを横断して検索することができる。

 Dropboxの共同創設者でCEOのドリュー・ハウストン氏は次のように述べている。

Dropboxの提供を開始した理由は、その当時デバイスやプラットフォームに左右されずにコンテンツを見つけ、アクセスする良い方法が必要だったからです。そして本日私たちは、同じ問題の2024年版のソリューションを提供します。現在は、コンテンツがあらゆる場所に散りばめられ、仕事を完了するのに必要な情報を見つけるのが困難です。「Dropbox Dash for Business」は、必要な情報を迅速に見つけ、毎日の障害を取り除き、機密情報を保護することで、この問題を解決します。実際にユーザーの皆様に使ってもらえるのを楽しみにしています。

 「Dropbox Dash」では保存場所を問わず社内の情報を1つの検索ボックスで検索できる機能を提供している。さらにDropbox Dash for BusinessではGoogleドライブや「Notion」「Asana」などのビジネスアプリと連携でき、AIによる機械学習による検索結果の改善やリアルタイムの回答および要約を提供する。

 Dropbox Dash for Businessにはベータ版でユーザーに好評だった機能のアップデートが含まれている。ユニバーサル検索や「最近の作業」へのショートカット、ミーティングの開始が可能なダッシュボードである「Start Page」に更新情報を表示するアクティブティフィードが追加されている。また情報をグループ化する「Stack」では企業レベルで作成できるようになり、社内外の人への細かな共有権限設定ができるようになった。AI活用機能の「Answer」では元々の検索クエリに基づき、フォローアップの質問や回答、関連するコンテンツのリンクを生成できるようになり、「一層深い知見が得られるようになっている」という。

 Dropboxの調査によると日本のナレッジワーカーの83.4%がAIを業務に取り入れたいと回答しているが、実際にAIを活用しているのはわずか21.6%にとどまる。多くのナレッジワーカーがAI導入を希望しているにもかかわらず、実際には業務でAIを利用できていない現状が浮き彫りになっており、DropboxはDropbox Dash for Businessを通じてAIへの期待値が高い日本のナレッジワーカーの要望に答え、労働生産性を向上させたいとしている。

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