ハードウェアベンダーによるAI専用サーバや導入支援サービスが続々登場する中、ハード、ソフト、SI各分野の企業がタッグを組んで日本企業向けに「セキュアで効率的なオンプレミス型AIプラットフォーム」を提供する取り組みが登場した。
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HPEやDell TechnologiesといったハードウェアベンダーがAI専用ハードウェアと導入支援ソリューションを続々と発表する中、2024年10月10日にはNutanix Japan、DataRobot Japan、日立システムズが日本市場における生成AI導入を支援するパートナーシップを発表した。
3社共同で、データコンプライアンスが厳しい政府機関や防衛分野、官公庁、金融機関、製造業などを中心に「クラウド環境を使用できない企業や機密性の高いデータを扱う組織に向け、オンプレミス型のAIプラットフォームを共同で検証し提供すること」を目指す。
いまや企業が市場競争力を維持するには、生成AIをはじめとするAI導入は必須といっても過言ではない状況だ。経済産業省も日本企業に向けてAI導入のリスクや責任のあり方を示した「AI時代の人材・スキルに関するガイドライン」を発表してその動向を支援している。
しかし、セキュリティの問題やデータ管理、AI開発そのものの生産性の向上などが障壁となり、AI導入が進まない企業も多い。こうした課題に対処するため、3社は「迅速かつ安全な生成AI導入」を可能にするエコシステムを構築する。
Nutanixの調査「Nutanix レポート:エンタープライズAIの現状」(注)によれば、回答者の90%がAI活用を優先事項としているが、AIを活用した製品やサービスの市場投入までに時間がかかりすぎる点や、企業内でのAI人材の育成が大きな課題となっている。また、クラウド環境を利用できない企業や機密性の高いデータを扱う組織においてオンプレミス型のAIプラットフォームの需要も高まっている。
注:「Nutanix レポート:エンタープライズAIの現状」https://www.nutanix.com/jp/ai-report
今回の連携により各社の技術やサービスを統合した「AIフルスタックサービス」が提供される。AIフルスタックサービスの提供によりセキュアで効率的なAIプラットフォームが迅速に導入可能となり、データ利活用の効率化や業務改善が期待されている。
各社が提供するサービスは次の通りだ。
Nutanixは「Nutanix GPT-in-a-Box」を提供する。Nutanix GPT-in-a-Boxは「Nutanix Objects」や「Nutanix Files」といったストレージ管理システムと統合されているため、AIに対応したアプリケーションの構築を簡素化し、ユーザーによるデータ制御を支援する。
最新版のGPT-in-a-Box 2.0ではビルトインのGUIやロールベースのアクセス制御、監査機能、ダークサイト対応に加え、NVIDIAの生成AIモデルライブラリー「NVIDIA NIMs」やLLMライブラリー「Hugging Face」が利用できる。
DataRobotは「DataRobot AI Platform」を提供する。DataRobot AI Platformは、AIモデルのライフサイクル管理やAIガバナンス、構築や運用プロセスを包括的に支援する管理プラットフォームで、生成AIを含む各種AIモデルの開発や管理、監視を一元化可能だ。Nutanixの環境にDataRobot AI Platformを導入することで、セキュアな生成AI環境を構築できる。
日立システムズはAIを業務に適用するためのコンサルティングから生成AIや予測AIの業務適用の選定、AIインフラの実装・運用、データ活用の効率化をサポートする。機密性の高いデータを扱う場合にはRAGやLLMの実装・運用を提供し、オンプレミスでの安全な環境構築を支援する。
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