AWSジャパンがソフトウェア企業やユーザー企業のSaaS事業を支援する、日本独自の新たな施策を打ち出した。この動きから、今後デジタル化がますます進む日本のユーザー企業の針路を考察する。
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「日本のIT産業においてSaaSは成長分野の一つだ。SaaS事業を手掛ける日本企業を強力に後押しするため、ソフトウェア企業をはじめ、エンタープライズ企業や地方企業を対象とした支援施策を提供し、日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)および地域社会の発展に貢献したい」
米Amazon Web Services(AWS)の日本法人アマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)で常務執行役員 デジタルサービス事業統括本部長を務める佐藤 有紀子氏は、同社が2024年11月13日に都内ホテルで開催したソフトウェア企業への支援プログラム「AWS SaaS 支援プログラム」提供開始の発表会見で、こう切り出した。
この動きは、既存のソフトウェア企業だけでなく、ユーザー企業がDXによってSaaS事業に乗り出すという“針路”も視野に入れていると思われる。AWSジャパンの思惑を筆者なりに考察したい。
まずは、佐藤氏の説明を基にAWSジャパンの新施策のポイントを紹介しよう。
AWS SaaS 支援プログラムは、ビジネス面および技術面の双方から支援する施策だ(図1)。
図1に示すように、大きく3つのフェーズに分かれ、その段階ごとに異なる課題を整理し、必要な支援プログラムを用意している。3つのフェーズは、「はじめる」「つくる」「拡大する」といった流れだ。
上記のように説明した佐藤氏は、「AWS SaaS 支援プログラムはSaaSジャーニーを“一気通貫”で支援し、当社が3つのフェーズにおいてそれぞれしっかりと伴走する」と強調した。
このプログラムの内容を3つのフェーズの流れに沿って記したのが、図2だ。
緑色で囲まれたものがビジネス面での支援、黄色で囲まれたものが技術面での支援である。
佐藤氏によると、「まずSaaSを企画し、クラウドへ移行するフェーズから、設計、構築、そして改善、強化、最終的にはスケーリングできるGo-to-Market戦略まで、SaaS事業を行う企業の課題解決に必要な支援を提供していく。支援の中には、SaaS事業を始める際に行うシステムの移行だったり、その後のモダナイゼーションにおいて発生するコストを支援したりするクレジットプログラムもある。また、コミュニティ活動の例としてはSaaS事業に関わる、ビジネスと技術に関わる情報をまとめてインプットできる集合研修『SaaS Boot Camp』やCPO(最高製品責任者)向けの『AWS CPO Forum』 などを開催する」とのことだ。
以下、3つのフェーズについて、佐藤氏が解説したポイントと筆者の考察を記す。
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