生成AI時代にGoogle Cloudが絶好調な“納得の理由”

Googleは現在ハイパースケーラー3社の中で最もシェアが小さいが、昨今はクラウド事業の収益を順調に伸ばし、AWSとMicrosoftを猛追している。何が同社の成長を支えているのだろうか。

» 2024年12月02日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 Googleのアナト・アシュケナージ氏(CFO《最高財務責任者》 兼 シニアバイスプレジデント)は2024年10月29日(現地時間、以下同)の2024年第3四半期決算説明会で「AIインフラや生成AIソリューション、主要製品の成長により『Google Cloud』の収益が増加し、前年同期比35%増の114億ドルに達した」と述べた(注1)。

 なお、同氏は2024年6月にGoogleとAlphabetにCFOとして入社し、前任のCFOであるルース・ポラット氏は社長兼最高投資責任者に就任した。

今、Google Cloudが好調なワケ

 同社の収益成長率は、2023年第3四半期では22%だったのに対し、2024年第1四半期では28%、同年第2四半期には29%と、この1年で着実に加速している。何がこの成長を支えているのだろうか。

 「Googleのクラウドデータベースサービスおよび『Vertex AI』のモデルカスタマイズプラットフォームの企業利用の増加が成長を後押しした」とGoogleのスンダー・ピチャイ氏(CEO《最高経営責任者》 )は述べた(注2)。同氏によると、「BigQuery」の機械学習オペレーションは過去2四半期で80%増加したという。

 さらに、データセンターインフラへの大規模な投資がクラウド事業の収益の成長をけん引している。Googleは2024年9月30日までの3カ月間に130億ドルの設備投資をした。これは同社が2023年第3四半期に費やした80億ドルを63%上回っている(注3)。2024年に同社はインフラ増強に380億ドルを投じており、前年同期比で80%増加している。

 アシュケナージ氏は、第3四半期の支出を2つに分類した。1つ目が130億ドルの投資額のうち大半を占めている技術インフラへの支出、2つ目が施設関連の支出だ。前者の支出には、AIに最適化されたチップやサーバ、データセンターやネットワーク機器が含まれている。

 「AIの革新には製品やプラットフォームを通じたグローバルな展開と、継続的に有意義な投資を行うことが必要だ(注4)」(アシュケナージ氏)

 Googleはハイパースケーラー3社の中で最も規模が小さく、市場占有率は約12%にとどまる。Synergy Research Groupの分析によると、大手プロバイダーのAWS(Amazon Web Services)はクラウド市場の32%、Microsoftは23%のシェアを持っている(注5)。2024年は3社ともインフラ構築に数百億ドルを投資している(注6)。

 アシュケナージ氏は、2025年は設備投資が増えると予想しており、同時に支出を最適化する方法も模索している。

 「AIやその他の成長分野への投資と、それらの活動資金を賄うために必要なコスト管理のバランスを取るよう努めている」(アシュケナージ氏)

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