国内IT大手2社がAWSとの連携を強化する。企業に残るレガシー資産のクラウドシフト、DXを推進する新たな取り組みだ。
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富士通および野村総合研究所(NRI)は2024年12月2日、AWSと連携したサービスの強化を図る。日本企業が抱えるレガシー資産のクラウドシフトとデータ活用促進を進める考えだ。
両社はメインフレームなどの古い基幹システムのクラウド移行や「AWS Outposts」を活用したマルチクラウド運用のフルマネージドサービスなどを提供し、エンタープライズIT資産が持つデータの活用、生成AIの本格的な利用を見据えたIT環境のモダナイズを進める。
富士通はAWSとの戦略的協業をこれまでのモビリティ、金融、小売分野にとどまらず全業種に拡大することを発表した。富士通の「Fujitsu Uvance」構想に基づき、AWSの生成AI技術やクラウドサービスと連携した新たなDXソリューションを提供する。同構想ではSDGsを意識した持続可能な社会の実現が掲げられており、企業のビジネス成長と社会課題の解決を支援する。
具体的にはメインフレームやUNIXサーバーを含むさまざまな既存基幹システムのクラウド移行支援を強化し、「Fujitsu Cloud Transformation Service」および「Fujitsu Cloud Managed Service」などのサービスを通じてクラウドに最適化されたシステムインテグレーションと運用支援サービスをワンストップで提供する。また富士通の生成AIサービス「Fujitsu Kozuchi」とAWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」との連携も開始される。この連携により業務知識と生成AIなどの最新技術が融合し、顧客の生産プロセスの効率化や稼働率が向上する。富士通は、AWS認定資格保有数を現行の7000件から3年間で1万2000件規模に増加させる計画だ。
NRIは自社データセンターにAWSのハイブリッドクラウドサービスであるAWS Outpostsを導入し、独自機能を追加した上でマネージドサービスの提供を開始することを発表した。同サービスはデータの置き場所を明確にすることでデータ主権を実現するとともにセキュリティ対策やシステム監視、障害対応などをマネージドサービスとして包括的に取り扱うことで利用企業の安全・安心なシステム開発や運用を支援する。
またシステム品質の向上および均質化を支援することを目的とした標準化されたテンプレート(システムを構築するための環境設定やセキュリティ対策など)も提供される。さらにネットワークやサーバーリソースの論理分割機能を導入してリソースの効率化を図るとともに、NRIデータセンター内でAWS Outpostsとオンプレミスや「専用パブリッククラウド」を低遅延で接続可能な環境を実現し、利用企業に柔軟性を提供する。
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