IDCの調査で、DXがうまくいかない企業に共通する問題点が明らかになった。
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DXで成果を挙げる企業が増える一方で、取り組みが進まずに期待する成果が出ていない企業も存在する。
IDC Japan(以下、IDC)が実施した国内ユーザー企業のデータ活用とデータ管理の現状についての調査によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタルビジネスの進展度合いや成果が良好な企業とそうではない企業の間には、データ活用に関して大きな差が存在する。
DXがうまくいかない企業に共通する、データ活用の在り方の意外な問題点とは何か。
同調査では、AI活用やデータドリブン経営が求められる中で、企業がどの程度データを活用できているか、またその基礎となるデータやプラットフォーム、組織がどの程度整っているかを調べるために実施された。企業のDXやデジタルビジネスの進展や成果にそれらがどのような影響を与えているかが明らかになった。
同調査によると、国内企業でDXやデジタルビジネスの取り組みがある程度進行し、一定程度の成果を獲得している企業(先行 良好企業)は6割を占めた。逆に取り組みが遅れており成果も認識できていない企業(遅行 不良企業)は2割弱だった。
両者の違いはどこにあるのか。同調査をまとめた調査レポートによると、データ活用で大きな差がある。「先行 良好企業」の8割強が「一定程度以上データ活用できている」と回答したのに対して、「遅行 不良企業」で同様の回答を選択した割合は約2割にとどまった。
IDCが実施した別のアンケート調査によると、「遅行 不良企業」は「先行 良好企業」よりも、「データ活用の取り組みを自社のみで取り組んでいる、もしくは取り組もうとしている」企業が多かった。
この背景について、IDCは「遅行 不良企業」には、「(データ活用に)財務分析や業務効率性分析などしか取り組んでおらず、自社で賄えている」「DXやIT化で成果が出ておらず、外部要員やソリューションに投資できない」「データ活用における知識や組織文化が醸成しておらず、適切なベンダーを選定できない」など複合的な要因があることがうかがえると分析している。
IDCの鈴木 剛氏(Tech Buyer リサーチマネージャー)は、「国内企業は、データ活用の意義を経営計画や事業戦略に明示し、業務活動と連動させる必要がある。実際の活用においてはデータの関連性や項目の過不足を明らかにし、データプラットフォームに取り込み、まずは活用を開始することも有益である。それにより、企業独自の状況に基づいた実践的な育成も可能になる」と指摘している。
同調査は、国内の従業員300人以上のエンドユーザー企業のIT戦略や情報システム部門の管理に関わる担当者300人を対象に2024年5月に実施された。
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