AIプロジェクトへの投資が倍増する一方、現時点では成果を実感できていない企業が大半のようだ。投資コストの回収までは最大2年を要すると見込む企業が多い中で、成果を上げるには我慢強さが求められる。
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データプラットフォームを提供するHitachi Vantaraが2024年8〜9月に世界15カ国の企業幹部およびIT意思決定者1200人を対象として実施した調査によると、企業は2026年末までにAI関連のデータストレージと処理能力への投資を2倍以上に増やす計画だという。
回答者はデータと計算資源への支出が今後2年間で224%増加すると見込んでいる。同期間におけるAIへの投資も226%とほぼ同じ割合で増加することが報告書で明らかになった(注1)。
一方、データガバナンスに対する懸念も高まっている。回答者の3分の1以上がデータ品質への信頼が欠如していると述べており、不十分な入力データが悪い結果を招いていることが示された。 ITリーダーは、AIの出力が正確であったのは50%以下だったとしている。
LLM(大規模言語モデル)で、これまで処理されていなかった膨大な企業データが解放された。現在、ITリーダーは成長する生成AIへの投資に対するリターンを確保するためにその影響に対処している。
2024年12月のIBMの報告によると、ほとんどの企業は2024年にAI投資に対するROIを達成できなかったという(注2)。調査対象となった2400人以上のIT意思決定者のうち、同年中にAIプロジェクトが利益を上げたと答えたのは半数以下だった。
Hitachi Vantaraによると、直接的な利益はまだ実現していないものの、経営陣はAIの未来に希望を見いだしているという。3分の2以上の企業がAI技術を研究開発費として捉えており、ROIの回収までには最大2年かかると見込んでいる。
データに関する課題の規模が大きく、忍耐が求められる。
同調査では、回答者の4分の3が企業内に保存されているデータの半分以上は非構造化データであると答えた。また、回答者の4分の1以上が包括的なデータ品質レビューのプロセスをまだ導入していないという。
調査会社Omdiaの調査によると、企業がAIモデルのトレーニングやチューニングを目的としてブログやソーシャルメディアの投稿、音声記録、動画ファイルなどの膨大なリポジトリを利用することに伴い、クラウドストレージ市場の規模は2028年までに倍増すると予測されている(注3)。
コンサルティング会社Information Services Groupのアナリストによると、企業がIT支出全体に慎重な姿勢を崩していないにもかかわらず、経営陣はAIプロジェクトに前向きだという(注4)。
こうした投資の規模感が、データ運用の専門家やその監督するデータ入力の重要性をさらに高めている。
Hitachi Vantaraのサイモン・ニナン氏(事業戦略担当シニアバイスプレジデント)は報告書の中で、「AIの導入はシステムとその出力に対するユーザーの信頼に大きく依存する。初期段階の体験が悪ければ、将来の能力にも悪影響を与えることになる」と述べた。
(注1)Unlock key strategies to lead in the AI era(Hitachi Vantara)
(注2)ROI remains elusive for enterprise AI plans despite progress(CIO Dive)
(注3)AI costs shape enterprise data strategy(CIO Dive)
(注4)AI spending to grow faster than IT budgets next year, executives say(CIO Dive)
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