成果はなくとも投資は倍増 AIの費用対効果の回収には忍耐が必要CIO Dive

AIプロジェクトへの投資が倍増する一方、現時点では成果を実感できていない企業が大半のようだ。投資コストの回収までは最大2年を要すると見込む企業が多い中で、成果を上げるには我慢強さが求められる。

» 2025年02月07日 10時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 データプラットフォームを提供するHitachi Vantaraが2024年8〜9月に世界15カ国の企業幹部およびIT意思決定者1200人を対象として実施した調査によると、企業は2026年末までにAI関連のデータストレージと処理能力への投資を2倍以上に増やす計画だという。

成果はなくともAIへの投資は倍増

 回答者はデータと計算資源への支出が今後2年間で224%増加すると見込んでいる。同期間におけるAIへの投資も226%とほぼ同じ割合で増加することが報告書で明らかになった(注1)。

 一方、データガバナンスに対する懸念も高まっている。回答者の3分の1以上がデータ品質への信頼が欠如していると述べており、不十分な入力データが悪い結果を招いていることが示された。 ITリーダーは、AIの出力が正確であったのは50%以下だったとしている。

 LLM(大規模言語モデル)で、これまで処理されていなかった膨大な企業データが解放された。現在、ITリーダーは成長する生成AIへの投資に対するリターンを確保するためにその影響に対処している。

AI投資でROI達成した割合は?

 2024年12月のIBMの報告によると、ほとんどの企業は2024年にAI投資に対するROIを達成できなかったという(注2)。調査対象となった2400人以上のIT意思決定者のうち、同年中にAIプロジェクトが利益を上げたと答えたのは半数以下だった。

 Hitachi Vantaraによると、直接的な利益はまだ実現していないものの、経営陣はAIの未来に希望を見いだしているという。3分の2以上の企業がAI技術を研究開発費として捉えており、ROIの回収までには最大2年かかると見込んでいる。

 データに関する課題の規模が大きく、忍耐が求められる。

 同調査では、回答者の4分の3が企業内に保存されているデータの半分以上は非構造化データであると答えた。また、回答者の4分の1以上が包括的なデータ品質レビューのプロセスをまだ導入していないという。

 調査会社Omdiaの調査によると、企業がAIモデルのトレーニングやチューニングを目的としてブログやソーシャルメディアの投稿、音声記録、動画ファイルなどの膨大なリポジトリを利用することに伴い、クラウドストレージ市場の規模は2028年までに倍増すると予測されている(注3)。

 コンサルティング会社Information Services Groupのアナリストによると、企業がIT支出全体に慎重な姿勢を崩していないにもかかわらず、経営陣はAIプロジェクトに前向きだという(注4)。

 こうした投資の規模感が、データ運用の専門家やその監督するデータ入力の重要性をさらに高めている。

 Hitachi Vantaraのサイモン・ニナン氏(事業戦略担当シニアバイスプレジデント)は報告書の中で、「AIの導入はシステムとその出力に対するユーザーの信頼に大きく依存する。初期段階の体験が悪ければ、将来の能力にも悪影響を与えることになる」と述べた。

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