経産省「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を公開 増える契約リスク

経済産業省は、AIの利活用における契約の重要性を踏まえ、「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を取りまとめた。このチェックリストは、AI技術の利用者が法的リスクを回避し、適切な契約を締結するための参考資料となっている。

[後藤大地，有限会社オングス]

　経済産業省は2025年2月18日、「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を取りまとめた。同チェックリストは生成AIの急速な普及に伴い、AIの利活用に関する契約の重要性が高まっている現状を踏まえ、当事者間の適切な利益およびリスクの分配を促進し、AIの利活用を推進することを目的としている。

　2022年ごろから基盤モデルを使った生成AIが急速に普及し、企業においてもAIを活用したサービスの導入が進んでいる。一方で、AIや法務に精通していない事業者が契約を締結するケースも増加しており、契約上のリスクを十分に検討しないまま導入が進む懸念が指摘されている。特に次のようなリスクが課題として挙げられている。

• AIの利活用に関する契約に伴う法的なリスクを十分に検討できていない可能性
• 保護されるべきデータや情報が予期せぬ目的に利用され、また第三者に提供されるなど、想定外の不利益を被る可能性

　このような課題を解決するため、経済産業省により実務上使いやすいチェックリストが策定されている。

　同チェックリストは次の方針に基づき策定されている。

• AIを使ったサービスの利用者が、サービスの提供者に提供するデータの利用範囲や契約上のベネフィット（サービスの水準、AI生成物の利用条件など）について十分に検討するために必要な基礎的な知識を提供すること
• 提供されるデータの不適切な利用などを避けられるよう、利用者において、契約時にチェックするべきポイント（チェックポイント）を具体的に記載すること
• 次に示す幅広い想定読者や利用場面を念頭に置き、AI利活用の契約実務に有益な参考資料とすること

　同チェックリストは、AI利活用の実務経験に関わらず、幅広い読者を対象としている。特に社内法務部や顧問弁護士が契約条項を検討する場面、またはビジネス担当者が契約の初期に検討する場面を想定している。