NECとシスコ AIガバナンスコンサルティングを開始

NECとシスコが協業し、AIガバナンスの強化に向けたサービスを国内で開始した。AI技術の進化に対応し、セキュリティリスクや倫理的問題に取り組む。

[後藤大地，有限会社オングス]

　NECは2025年3月26日、シスコシステムズ（以下シスコ）と協業し、日本企業および自治体向けにAIガバナンス分野の強化を目的とした新たな取り組みを開始すると発表した。同協業によりNECのコンサルティングサービスとシスコのAIセキュリティソリューション「Cisco AI Defense」を組み合わせた「NEC AIガバナンスサービス」を国内で提供開始する。

　近年、AIの進化により企業や自治体での生成AI活用が進んでいる。一方でAIが事実に基づかない情報（ハルシネーション）を生成するリスクや著作権およびプライバシーの侵害といった問題が指摘されている。従来のサイバーセキュリティソリューションだけではこれらの課題に対応しきれず、公平性や透明性、安全性を確保するAIガバナンスの構築が急務となっている。

　同協業の一環としてNECは「Cisco AI Defense」を活用し、AIの安全性を確保するためのコンサルティングサービスを提供する。「Cisco AI Defense」はAIの開発、展開、仕様に伴うリスクに対応するために設計されており、自動化されたアルゴリズムによる脆弱性テストと、モデルおよびアプリケーション全体に共通のランタイムセキュリティ層を備えている。

　NEC AIガバナンスサービスで提供される主なサービスは次の通りだ。

• AIポリシー／ガイドライン策定支援（提供中）: 　NECにおけるAIポリシー／ガイドラインの運用実績と、日々進化するガイドライン／法制度に関する知見を生かし、顧客のAIポリシー／ガイドラインの策定を支援
• ユースケース検討（提供中）：　NECで培ってきたAI導入実績を踏まえAI活用に関するユースケースを整理し、それぞれのユースケースにおけるAIリスクと対応策を検討
• AIリスク評価（2025年秋提供開始）：　Cisco AI Defenseを活用し、AIシステムの品質リスクや倫理リスク、セキュリティリスクを包括的に評価。評価結果を基に各種AIリスクに対する対応策を検討
• AIガバナンス製品導入（2025年秋提供開始）：NECが長年培ってきたシステム構築実績と生成AI導入実績を踏まえ、顧客の生成AIシステム環境にCisco AI Defenseを導入
• AIリスク監視（2025年秋提供開始）：　Cisco AI Defenseの日々の入出力ログから、AIのリスクを継続的に監視。リスクを評価・改善するための定期レポートを作成し、顧客の運用を支援
• AI教育展開（提供中）：BluStellar Academyで蓄積してきた教育ノウハウとAIガバナンスへの取り組み経験を生かし、AIリテラシーを向上させるための教育プログラムを展開