AIエージェント導入における最大の懸念とは? 期待の裏に潜むリスクCIO Dive

多くの企業がAIエージェントの導入を検討しているが、これに当たって幾つかの懸念も生じている。導入における最大の障壁とは何か。

» 2025年04月14日 07時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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Cybersecurity Dive

 ソフトウェア会社SnapLogicが2025年2月26日(現地時間)に発表した調査によると、ITリーダーはAIエージェントに高い関心を示す一方で、この技術の欠点や導入に伴う障壁について懸念を抱いているという(注1)。

AIエージェント導入における最大の懸念とは? アナリストらが分析

 1000人のIT意思決定者を対象としたこの調査では、意思決定者の85%近くが「AIエージェントが人間の作業者と同等、あるいはそれよりも優れたタスクをこなせる」と信頼を寄せていることが分かった。また、回答者の約5人中4人が「導入することで最も恩恵を受けられるのはIT部門だ」と答えている。

 だが企業がこの技術の導入を検討する中で、幾つかの懸念も生じている。それは一体何だろうか。

 導入の最大の障壁として最も多く挙げられたのはデータセキュリティとプライバシーに関する懸念で、次いでレガシー技術との統合の難しさ、従業員の理解不足、ハルシネーションに対する不安が挙げられた。

 エージェント型AIは、2025年に注目されているAIだ。プロバイダーはこの技術を推進しており企業も興味を示している。

 SnapLogicの調査によると、ITリーダーの80%近くが2025年にAIエージェントに少なくとも100万ドルの投資を計画しているという。大半の企業は、その投資で今後12カ月以内に10数個のAIエージェントを導入する計画もある。

 この技術はIT業務を変革する可能性を秘めているが、他の部門でもエージェントの活用が進んでいる。

 小売り大手のWalmartはAIエージェントを活用し、加盟店が供給管理の問題の原因を見つけるのを手助けしていると、同社幹部は2025年2月の決算説明会で述べた(注2)。また、Accentureのマーケティング担当者はキャンペーンを立案するために、トヨタ自動車はナレッジマネジメントを支援するためにエージェントを活用している(注3)(注4)。

 アナリストたちは「ガバナンスやセキュリティの基盤が不十分な企業が取り組みを進めると望ましくない結果に終わる可能性がある」と警告している。

 Gartnerは「今後3年間で企業の情報漏えいの4件に1件はAIエージェントの悪用に起因するものになるだろう」と予測している。調査会社Forrester Researchは「エージェントの構築を試みる企業の4社中3社が2025年内に失敗し、コンサルティング会社に助けを求めることになる」と予想している(注5)。

 現在、ほとんどの企業はまだ基礎固めをしている段階だ。業務自動化ツールを提供するTray.aiの調査によると、IT担当者の9割近くが「AIエージェントを導入する前に社内の技術スタックをアップグレードする必要がある」と回答している(注6)。

 さらに、AI導入を成功させるには従業員の行動に対処するためのチェンジマネジメントの実践も欠かせない。

 ソフトウェア会社Pegasystemsのレポートによると、従業員の約5人中2人がAIが作成した成果物を提出することに抵抗を感じており、AIによる業務の質が自分の仕事と比べて劣っていると指摘する声もある(注7)。また、技術の信頼性や正確性、透明性についての懸念も多くの従業員が抱えているという。

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