AIはCX分野でどのような効果をもたらすのか。AIエージェントはこれからどうなるのか。CX分野に注力するZoomの取り組みから探る。
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AIがビジネスに活用される中で、今後その効果が大きく期待されている分野が「CX」(カスタマーエクスペリエンス:顧客体験)だ。AIはCX分野でどのような効果をもたらすのか。ビデオ会議ツール「Zoom」でここ数年、存在感を高めてきた米Zoom Communicationsがこの分野に注力しており、その取り組みを日本で開催したイベントで紹介した。AIを実装したZoomがCXにどのような影響を及ぼすのか。それによってCXの未来はどうなるのか、考察したい。
「Zoomが日本でビジネスを始めて6年がたち、多くの皆さんにお使いいただいている。最近ではAIを実装し、進化を遂げつつある。AIによって『人とのつながりの新しい世界』を切り開きたい」
Zoom Communicationsの日本法人ZVC JAPANの下垣典弘氏(代表取締役会長兼社長)は、同社が2025年4月17日に都内で開催したプライベートイベント「Zoom CX Summit Tokyo 2025」のオープニングスピーチでこう切り出した。
同社はこれまでソリューションとして、ビデオ会議を中心とした「コミュニケーションプラットフォーム」と表現してきたが、2023年9月に生成AI機能「Zoom AI Companion」(以下、AIコンパニオン)を発表し、その後は「人とのつながりを支えるAIファーストのワークプラットフォーム」を前面に押し出している。
下垣氏はその特徴として、「業務の効率化」や「仕事の成果を早く出す」とともに、「人間関係を深めて『EX』(エンプロイエクスペリエンス:従業員体験)とCXを向上」の3つを挙げた(図1)。
そして、「AIファーストのワークプラットフォームでトータルな体験を提供する」として図2を示した。左側にEX領域、右側にCX領域、その全体をAIコンパニオンが包み込んでいる形を描いたこの図が、最新のZoomソリューションの全体像だ。
その上で、同氏はこのイベントのテーマである「AI時代のCX進化」のポイントとして、「AIによる顧客対応の自動化と効率化の加速」「CXとEXの一体化」「データ活用による会話の洞察からCX向上へ」といった3つを挙げた。
CXがテーマでありながら、ポイントの一つにEXとの一体化を挙げているところが興味深い。それは、Zoomはもともとオンライン会議を背景に社内、すなわちEX領域から普及し、CX領域へ広がった経緯があるからだ。さらにもっと重要なのは「EXあってこそのCX」という経営の考え方が広がってきたことだろう。
その考え方にのっとったZoomのソリューションは、図3に示すように顧客を中心としてCXとEXが一体化、あるいはEXがCXを支えているようにも見て取れる。この図には、2つの領域によって顧客に提供される具体的なサービスも記されている。そして、こうしたZoomのソリューションをさらに進化させるのが、AIコンパニオンの新機能として実装されたエージェント型AIだ。
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