退職や異動、転職などによって失われがちなノウハウをどう受け継ぐか。属人化しがちな実務のノウハウの「見える化」や定着を支援するソリューションが登場した。
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これまでベテラン従業員の退職に伴って多くのノウハウが失われてきた。実務におけるノウハウには言語化が難しいものも多く、ともすると「重要な知識」として認識されていないケースもある。
こうしたノウハウを消失させずに継承するために企業はなにができるのか。
日立製作所(以下、日立)は2025年4月24日、企業の実務に必要なノウハウの継承と定着をAIによって支援する「ノウハウ視える化・継承ソリューション」の提供を開始した。
業種によらず多くの企業が、実務に欠かせないノウハウの属人化や消失による業務の中断というリスクに直面している。
組織内に蓄積した暗黙知や属人的なノウハウをAIを利用してどのように可視化し、次世代メンバーに継承するのか。
同ソリューションは、日立が製造業で培ってきた技能伝承の知見に加え、これまで展開してきた「プロ人財視える化・育成ソリューション」での実績を生かして開発された。ノウハウを「技術」「業務」「プロセス」「人的コネクション」の4分類に整理し、それらを可視化、構造化することで形式知と暗黙知の双方を把握、活用可能にする。
既存の手順書や業務ドキュメント、過去の対応履歴といった形式知は、ハーマンモデルに基づいて4種類のカテゴリーに分類する。多能工化の手法や可視化技術を応用することでメンバーの経験や勘といった「暗黙知」を収集して文書化する。このようにして可視化したノウハウは、ダッシュボードで継承計画から定着確認まで一元管理できる設計となっており、組織内での継承進捗を明確に把握できる。
同ソリューションのもう一つの特徴は、生成AIを活用したノウハウの活用支援にある。対象業務に関するノウハウをAIが文書から抽出し、チャット形式でメンバーの問い合わせに対応する。
定着度確認のためのテストもAIが自動生成し、これを定期的に実施することでメンバーの習得状況を数値で把握する。これによりノウハウの定着を可視化し、継承の確実性を高められるという。
企業にとって実務ノウハウの継承は組織運営の安定性と直結する。日立によると、特にIT部門では属人化した対応手順やトラブル処理方法などの暗黙知が多く存在する。
日立は、ノウハウの継承を単なるマニュアル整備にとどまらず、組織的かつ体系的に支援する手立てとして、今後は学習カリキュラムの自動生成機能や実務ノウハウの形式知化を補助する機能の追加も予定する。
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