Dellは企業のAI導入を促進させるため、AIインフラやデータ基盤、パートナー連携を強化した。より多くの企業がAIの恩恵を受けられるという包括的なアプローチとは。
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Dell Technologies(以下、Dell)は、2025年5月20日(現地時間)に米ネバダ州ラスベガスで開催中の「Dell Technologies World 2025」にて、企業のAI導入を促進させるための包括的なインフラストラクチャー、ソリューション、サービスの強化を発表した。その中心となるのが、同社の「Dell AI Factory」の強化だ。
生成AIの導入を検討する企業にとって、その複雑さは時に大きなハードルとなる。しかしDellは、この障壁を取り払い、より多くの企業がAIの恩恵を受けられるよう、包括的なアプローチで支援するという。
この取り組みにより、あらゆる規模の企業でより容易かつ迅速にAIの導入と展開をできるよう支援する。Dellは基盤モデルの構築からエージェント型AIの実行に至るまでパートナーエコシステムとグローバルサービスを活用した堅牢(けんろう)なソリューション群を提供し、AI活用を推進するとしている。
特に注目すべきは、エンタープライズAIワークロードの運用効率を高めるために設計したAIインフラストラクチャーの進化だ。「Dell PowerCool Enclosed Rear Door Heat Exchanger(eRDHx)」は自己完結型冷却ソリューションであり、従来の熱交換器と比べて最大60%の電力削減が可能となる。また「IR7000」ラックと「eRDHx」の組み合わせにより、空冷能力はラックあたり最大80kWに達し、高負荷なAIワークロードにも対応可能となる。
サーバ面では「AMD Instinct MI350」シリーズのGPUを搭載予定の「Dell PowerEdge XE9785」および「XE9785L」サーバを発表した。従来比で最大35倍の推論性能が見込まれており、水冷と空冷の両構成に対応することで、冷却にかかるエネルギーコストも削減する。
加えてAIライフサイクル全体にわたるデータアクセスを支援する「Dell AI Data Platform」も機能強化されている。「Project Lightning」では業界最速クラスのスループットを達成し、大規模AIトレーニングを高速化。「Data Lakehouse」では構造化、半構造化、非構造化データの統合により、検索やレコメンドなどのユースケースが高速化される。
さらにDellは多様なパートナーとの連携によるカスタマイズ可能なAIソリューションの提供も強化した。Cohere、Glean、Google、Meta、Mistral AIとの協業により、オンプレミスでのエンタープライズAI活用を支援するための選択肢を拡充した。特にGoogleの「Gemini」やMetaの「Llama 4」といった最新モデルの活用を可能にするアーキテクチャーが導入されている。
AIインフラの選択肢としてはAMDおよびIntelとの協業による「Dell AI Platform」が拡充されている。「AMD ROCm」や「Intel Gaudi 3」を基盤とした高性能AI環境の構築が可能となり、企業のニーズに応じた柔軟な構成を実現する。
提供時期としては2025年後半より順次提供される製品が多く含まれており、一部ソリューションに関してはすでに提供を開始している。今回の発表を通じ、DellはAI時代における企業のニーズに対応するためのインフラとソリューションの強化を図っている。
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