AIエージェントの「価格破壊」は起きるか?Weekly Memo(1/2 ページ)

話題のAIエージェントはユーザーにとって「何ができるか」とともに「どのぐらいコストがかかるのか」も気になるところだ。こうした中、AIエージェント市場で「価格破壊」が起きる可能性を感じる動きがあった。

» 2025年06月16日 15時30分 公開
[松岡 功ITmedia]

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 このところITベンダー各社から商品化の発表が相次いでいる「AIエージェント」。さまざまな業務の自動化を自律的に進めることができる技術として、ユーザー企業の間では採用ムードが高まっている。それに伴い、ユーザーの目も「何ができるか」とともに「コストパフォーマンス」にも注がれるようになってきている。

 こうした中、AIエージェントのコストパフォーマンスにおいて、ユーザーの新たな注目を集めるのではないかと感じた動きがあったので、今回はその内容を紹介して考察したい。

コストが課題になりそうなAIエージェント

 それは、米UiPathの日本法人UiPathが2025年6月12日に日本市場での提供開始を発表した「エージェンティックオートメーション」ソリューションのことだ。

 従来、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の有力ベンダーとして成長を遂げてきた同社だが、ここにきて新たにエージェンティックオートメーションを打ち出している。

 おそらく、AIエージェントの活用が本格化するにつれて、ユーザー企業が価格面で悩む場面が出てくるだろう。そこで、UiPathのエージェンティックオートメーションがこうした悩みに応えるものなのかどうかを探り、筆者の見解を述べたい。

 まず、エージェンティックオートメーションとは何かを整理しよう。UiPathはこれまでのRPAを中心としたオートメーション技術の展開を「Act 1」(第1幕)、これからのエージェンティックオートメーション技術の展開を「Act 2」(第2幕)と位置付け、Act 2でAIエージェントに注力していくと表明した。ただし、この動きは同社にとってAct1からAct 2に移行するのではなく、両方を組み合わせたものだという(図1)。

図1 UiPathの新たな戦略(出典:UiPathの会見資料) 図1 UiPathの新たな戦略(出典:UiPathの会見資料)
 UiPathのフェイラン・ハオ氏(製品戦略担当バイスプレジデント)(筆者撮影) UiPathのフェイラン・ハオ氏(製品戦略担当バイスプレジデント)(筆者撮影)

 どういうことか。来日して発表会見に臨んだUiPathのフェイラン・ハオ氏(製品戦略担当バイスプレジデント)は、次のように説明した。

 「当社はAct1とAct 2の両方の機能を組み合わせることで、お客さまのさまざまな業務を自動化して生産性向上に貢献していく。エンドツーエンドの業務プロセスを自動化するには、そこに関わる個々のタスクを自動化しなければ成り立たない。また、定型的な業務において大事な情報をやり取りする際には、AIを使わなくても決まった作業を安全にこなす仕組みの方がいい。両方の機能を組み合わせれば、こうした柔軟で臨機応変に取り組めるようになる」

 ここで、改めてエージェンティックオートメーションとは何かを述べると、端的には「AIエージェントとRPAの連携による業務の自動化」のことだ。そうするとAct 2へ移行したように見えるが、「今後AIエージェントが主流になったとしてもRPAだけでこなせる作業はある」というのが、同社の考え方なのだろう。実はこの図1とその説明を聞いて、今回のテーマであるAIエージェントのコストパフォーマンスについて、ひらめくものがあったので、後ほど述べたい。

 UiPathのエージェンティックオートメーションの全体像は、図2の通りだ。ハオ氏によると、「業務のアクティビティからワークフロー、さらにはプロセスまで自動化する。そうした動きをAIエージェントが考え、ロボットが行い、人が指導するようになる」とのことだ。

図2 エージェンティックオートメーションの全体像(出典:UiPathの会見資料) 図2 エージェンティックオートメーションの全体像(出典:UiPathの会見資料)

 また、エージェンティックオートメーションの特徴については、「エンタープライズエージェントとして活用できる」「エージェンティックオーケストレーションが可能」「最高クラスのオートメーションを実現できる」「信頼できるクラウドである」といった4つを挙げた(図3)。

図3 エージェンティックオートメーションの特徴(出典:UiPathの会見資料) 図3 エージェンティックオートメーションの特徴(出典:UiPathの会見資料)
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