Windows 11が「MCP」対応って何がすごい？ 本格的なAIエージェント時代が見える

Microsoftは「Windows 11」にAIエージェント向け基盤「MCP」を導入し、アプリ機能の高度連携を実現する。セキュリティとプライバシーを重視しながら、開発者と連携企業がエコシステム構築を進める。

[後藤大地，ITmedia]

　Microsoftは2025年5月19日（現地時間）、年次開発者会議「Build 2025」で「Windows 11」がAIエージェント向けの標準プロトコル「Model Context Protocol」（MCP）に対応すると発表した。

　MCPはAIエージェントが外部ツールと連携するための共通プロトコル。さまざまな機能を提供するMCPサーバを構築したり、MCP準拠のアプリケーションを接続したりすれば、AIエージェントが本来持たない機能を実現できる。Windows上のアプリは自身の機能をMCPサーバとして提供し、AIエージェントがそれを呼び出すことでより高度な支援や操作が可能となる。まずは一部のパートナー企業向けに数カ月以内にプライベートプレビューを開始する。

MCPの危険性への配慮は？

　AIエージェントが外部ツールを操作する場合は適切な権限の制御が求められる。MCPの導入に当たってはセキュリティとプライバシーが重要視される。MCPサーバへのアクセスは初期状態では無効となっており、ユーザーが明示的に有効化した場合でも、エージェントによる機密性の高い操作は全て監査される設計となっている。各MCPサーバへのアクセスは最小権限の原則に基づいて制御され、宣言的な機能指定や適用可能な範囲での分離によって、リスクを最小化する構造が採られる。

　MCPプラットフォームは2つの主要コンポーネントで構成される。一つは「MCP Registry for Windows」で、これは信頼性のあるMCPサーバの一覧を管理し、エージェントがデバイス上のMCPサーバを発見し利用できるようにする中核的な役割を担う。もう一つは「MCP Servers for Windows」で、ファイルシステムやウィンドウ管理機能、Windows Subsystem for Linux（WSL）といったWindowsのシステム機能がMCPサーバとしてエージェントからアクセス可能になる。

　さらに開発者は自身のアプリに特定の機能をMCPサーバとして実装し、MCP Registryを通じて提供できるようになる。Microsoftはこれを支援する仕組みとして「App Actions on Windows」を導入し、アプリの機能をMCPサーバとして組み込むための新たな仕組みを提供する。

　本取り組みには、AnthropicとPerplexity、OpenAI、Figmaといった企業との協業も発表されており、各社のアプリケーションへのMCPや関連技術の活用が期待されている。これらの初期連携は、Windowsがオープンプラットフォームとして今後も進化し続ける姿勢を示すものといえる。

　Microsoftは今後もMCPを含むエージェント機能の拡張およびセキュリティ強化を継続するとしており、WindowsをAI時代の開発基盤として進化させる方針を明確にしている。