ペプシコのAI活用、「ここがスゴい」 AWSとのパートナーシップや生成AI基盤について解説CIO Dive

飲料メーカー大手のペプシコは、AIをどう活用しているのか。AWSとのパートナーシップや生成AI基盤について解説する。

» 2025年06月24日 08時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 飲料メーカー大手のPepsiCoは、Amazon Web Services(AWS)との複数年契約の一環として(注1)、全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進を目指している。

PepsiCoのAI活用の「ここがスゴい」

 ITのモダナイゼーションやクラウド移行、生成AI導入は多くの企業におけるIT関連の主要な取り組みになっている。PepsiCoはアプリケーションやワークロードをAWSに移行し、従業員や顧客に向けた機能をAWSで構築およびテストする予定だ。リアルタイムインサイトの向上や業務効率の強化も重点項目となっている。

 本稿ではPepsiCoのAI活用方法と、AWSとのパートナーシップについて解説する。

 両社によると、PepsiCoは独自に開発した生成AIプラットフォーム「PepGenX」を「Amazon Bedrock」と連携させ、アプリケーション開発における柔軟性と機能性の向上を図った。PepsiCoはモダナイゼーションを着実に進めながら、機能および技術基盤の強化に取り組むとしている。

 PepsiCoのラモン・ラグアルタCEOは、2024年に開催されたカンファレンスで次のように語った(注2)。「われわれはデータとAIをこれまでより大規模に活用する予定だ。5年前にはそれができなかった。当時は今のように従業員が活用できる形でデータが整備されていなかったからだ」

 AWSとのパートナーシップは、PepsiCoのクラウドインフラ基盤を活用して「これまで以上に積極的に、データおよびAI戦略を推進する」という、ラグアルタCEOが2024年2月に打ち出した同社の方針をさらに強化するものだ。

 PepsiCoのアシーナ・カニオウラ氏(エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフ・ストラテジートランスフォーメーション・オフィサー)は、2025年5月7日の発表で次のように述べた。

 「クラウドファーストのアプローチは、当社の継続的なデジタル変革にとって不可欠だ。AWSとの戦略的パートナーシップにより、当社の成熟したクラウド戦略がさらに強化され、企業全体で新たな俊敏性や知見、スケーラビリティを引き出せるだろう」

 クラウド環境を拡大する中で、PepsiCoの経営陣はコスト管理にも取り組んできた(注3)。

 業界を問わず多くの企業が、AIの導入によるワークロード増加に伴うクラウド費用の増大に頭を悩ませている。市場調査企業であるVanson Bourneによると、2024年はIT担当者の約4人に3人がクラウド費用の爆発的な増加の原因として「AIブーム」の影響を挙げた(注4)。

 スーパーマーケットの通路を見渡せば、消費者の支出削減や関税に関する不確実性の高まりによって(注5)(注6)、おなじみのブランドが逆風に晒(さら)されている。こうした状況で、大規模なテクノロジー投資の重要性が一段と増している。洗剤メーカーのCloroxは、2025年2月に開催された決算説明会でITのモダナイゼーション施策のコストに関するアナリストの懸念に反論し(注7)、その取り組みが長期的に付加価値をもたらすことを強調した。

 先行きが不透明になれば、企業は一部のプロジェクトを保留にする可能性がある。

 調査企業のIDCは2025年4月に公開したリサーチノートで「景気の減速と失業率の上昇という現実が、IT支出に直接的な影響を及ぼすだろう」と指摘した(注8)。

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