Windsurf、Googleと24億ドルの技術契約締結か 幹部もDeepMindへ移籍AIニュースピックアップ

WindsurfはGoogleと24億ドルの技術ライセンス契約を締結し、幹部数名がGoogle DeepMindに移籍する。OpenAIとの交渉が不調に終わった後、Googleとの契約に合意した同社の今後の行方は。

» 2025年07月15日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Windsurf(旧Codeium)は2025年7月11日(現地時間)、Googleとの間で技術ライセンス契約を締結、一部の幹部人材を移籍することで合意したことを明らかにした。Windsurf共同創業者のバルン・モーハン氏(CEO)およびダグラス・チェン氏を含む研究開発チームの一部がGoogle DeepMindに加わることになる。

Windsurf、OpenAIとの交渉決裂後にGoogleと24億ドル契約か

 Windsurfは声明の中で、今後は企業用のAIコード生成ツールの高度化と最適化に注力し、多様な業界での業務に適応可能な形で技術の展開を推進する意向を示した。ジェフ・ワン氏(Head of Business)が暫定CEOに就任し、グラハム・モレノ氏(VP of Global Sales)がプレジデントに就任したことも発表している。

 Reutersの報道によると、GoogleはWindsurfの技術を非独占的に利用するためのライセンス料として24億ドルを支払う(注1)。この契約により、GoogleはWindsurfに対し資本参加や支配権を取得することなく、対象技術を自社製品に活用可能となる。また同契約によりWindsurfの既存投資家には一定の流動性が提供されると同時に、株式の保有は継続されるという。

 米国のWebメディア「TechCrunch」は今回の合意について、買収ではなく「リバースアクハイヤー」(reverse acquihire)と呼ばれる形式で行われており、Googleは企業統治権を持たずにトップ人材と技術を獲得する内容だと報じている(注2)。モーハン氏およびチェン氏は、Google DeepMindにおいて「エージェンティック・コーディング」(agentic coding)に関する研究開発に従事する予定とされている。

 Googleとの契約に先立ち、WindsurfはOpenAIとの間で買収交渉を進めていたが、交渉は不調に終わったとされる。TechCrunchおよびReutersの複数の報道によれば、OpenAIはWindsurfを約30億ドルで買収する意向を示していたが、最終的に交渉期間が終了し、Windsurfはほかの選択肢を模索する道を選んだとされる。

 大手テクノロジー企業による人材獲得と技術導入を組み合わせた同様の事例は、近年増加傾向にある。Googleは2024年8月にもCharacter.AIのCEOらを採用しており、MicrosoftやAmazon、Metaも同様の手法を使ってAIスタートアップとの連携を進めている。こうした取引は、従来の買収に比べて米国の反トラスト規制の審査対象になりにくいとされているが、一部の取引については規制当局による調査も進んでいる。

 Windsurfは今後、約250人の従業員の大半を維持しつつ、企業顧客向けのAIコーディングツールの提供を継続する方針だ。経営陣の変更および一部人材の移籍によって、同社が今後どのように技術開発と市場展開を進めていくのかが注目される。

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