なぜNVIDIAやAMDが参加? 半導体メーカーがFinOps団体に加わる「意味」を考察CIO Dive

多くの企業がクラウド移行によるモダナイゼーションを図る中で、クラウド利用料が予想外に膨らむケースも目立つ。クラウドコストの最適化を推進する非営利団体にNVIDIAが新規加入する意味とは。

» 2025年07月16日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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CIO Dive

 クラウドコストの最適化を推進する非営利団体であるFinOps Foundationは2025年5月21日(現地時間、以下同)に、American ExpressやNVIDIA、AMD、ServiceNow、Snowflakeの5社を新たに受け入れた。同団体の発表によると(注1)、これらの企業は同非営利団体にプレミアメンバーとして加盟し、2025年6月に開催される「FinOps X conference」に代表者を派遣する予定だという。

なぜ半導体メーカーのNVIDIAやAMDが参加するのか?

 FinOps Foundationは2025年3月、ITコスト管理の取り組みの対象として、これまでのパブリッククラウドに加えてデータセンターやソフトウェアサービスも含めることとした(注2)。Linux Foundationの一部である同団体は、2025年6月に「FinOps Open Cost and Usage Specification」(FOCUS)のフレームワークのバージョン1.2を公開する予定だ(注3)(注4)。

 半導体メーカーであるNVIDIAとAMDがFinOps Foundationに加わったことは、何を意味するのか。

 両社がFinOps Foundationに加わったことは、AI投資に対する企業の関心の高まりを反映している(注5)。FinOps Foundationのジェイ・アール・ストーメント氏(エグゼクティブディレクター)は発表で「パブリッククラウドを活用する企業にとって、FinOpsは当たり前の存在となっている。経営陣はFinOpsのチームに対して、そのメリットをAIやSaaSなどの他領域にも拡大するよう求めている」と語った。

 クラウドモダナイゼーションは、多くの企業にとって予想外のコスト急増という痛みを伴った(注6)。これに対してFinOpsの実務者は支出の膨張を抑え、利用状況を最適化するために、財務部門とIT部門の連携によるコスト最適化の体制を築き上げた。

 FinOps Foundationは、クラウドを利用する企業とテクノロジーサービスベンダーを結び付け、請求業務の標準化とコスト管理プロセスの効率化を支援してきた。

 今回、新たに加盟した企業はAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Google Cloudといったハイパースケーラーをはじめとする幅広い加盟企業やサービスプロバイダーの顔ぶれに加わることになる。51人で構成されるFinOps Foundationの運営委員会には(注7)、Capital OneやJPMorgan Chase、Mastercardなどのテクノロジー分野の幹部に加え、AccentureやPwC、SAPの代表者も名を連ねている。

 FinOps Foundationは2025年5月21日、クラウドベースのデータおよびAIプラットフォームプロバイダーとしてSnowflakeが初めてプレミアメンバーに加盟したと発表した。クラウドストレージサービスを提供するWasabi Technologiesが2025年2月に発表したレポートによると(注8)、AIの導入拡大に伴い、データ保存や分析に関連するコストの増大が企業にとって継続的な課題となっているという。

 FinOps Foundationの運営委員であり、IT管理サービスを提供するFlexeraでクラウドおよびFinOpsを担当するシニアバイスプレジデントのジェイ・リトキー氏は、2025年4月に「CIO Dive」に対して「FinOpsの目的は不要な支出を抑制することであり、必ずしもクラウド利用量の削減を意味するわけではない」と語った(注9)。実際のところ、FinOpsの実践はコストと価値を結び付けることであり、クラウド消費量の増加につながるケースも多いようだ。

 FinOps Foundationの新たな加盟企業も、SaaSやAIの利用において同様の傾向が広がると予想している。

 NVIDIAでプロダクトおよびエンジニアリングを担当するAJ・ニッシュ氏は、発表で次のように述べた。

 「AIに対する適切なFinOpsの確立は、ビジネスの成功にとって極めて重要になっている。われわれはプレミアメンバーとしてFinOps Foundationに加盟し、業界標準の策定を支援し、指標を通じた説明責任を推進し、顧客がAIインフラへの投資に関するパフォーマンスと価値の両方を最大化できるように取り組んでいく」

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