NVIDIAがAIエージェントに本気 「Llama Nemotron」の特徴は?CIO Dive

AIエージェント関連の新サービスが次々に発表される中、半導体の新しい王者とも言われるNVIDIAが投入する「NVIDIA Llama Nemotron」の特徴とは。

» 2025年05月08日 08時00分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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CIO Dive

 半導体メーカーであるNVIDIAは、2025年3月18日(現地時間、以下同)に開催した年次のカンファレンス「GPU Technology Conference 2025」(GTC 2025)で、AIエージェントの開発を支援するためのモデル「NVIDIA Llama Nemotron」(以下、Llama Nemotron)ファミリーを発表した(注1)。同社は、企業がAIエージェントを構築するための基盤を企提供することを目的としていると述べた。

半導体の新しい王者NVIDIAが投入する「Llama Nemotron」の特徴

 Llama Nemotronは推論用のマイクロサービスとして次の3サイズに最適化されている。

  1. Nano: PCやエッジデバイス向け
  2. Super: 単一のGPUインスタンス向け
  3. Ultra: 複数のGPUサーバー向け

 多くのITベンダーがAIエージェント関連の新サービスを投入する中で、半導体の新王者とも言われるNVIDIAが提供するLlama Nemotronの特徴は次の通りだ。

 NVIDIAによると、Llama NemotronはMetaが提供する大規模言語モデル「Llama」で構築されている。ポストトレーニングの過程で多段階の数学処理やコーディング、推論、複雑な意思決定能力を向上させるために強化されている。

 MicrosoftやSAP、ServiceNow、Accenture、DeloitteはLlama Nemotronを自社のサービス強化に活用する予定があるか、または既に活用している。NVIDIAが2025年3月18日に発表した内容によると、Accentureは業界特化型の新しいAIエージェントにNVIDIAのモデルを活用する予定だ(注2)。

KFCはAIエージェントをどう利用している?

 NVIDIAはLlama Nemotronによって同社のAIエージェント関連ポートフォリオを拡充する形となった。

 NVIDIAの企業向けAIソフトウェアプラットフォームには、開発の評価と簡素化のためのオープンソースライブラリ「AgentIQ」のツールキットと、エージェント型アプリケーションの推論を最適化する「NIMマイクロサービス」が含まれている。

 Kentucky Fried Chicken(KFC)をはじめとする複数の巨大ファストフードチェーンを運営するYum Brandsが、音声注文のためのAIエージェント開発でNIMを使用しているとNVIDIAはGTC 2025で紹介した(注3)。

 Yum Brandsは自然言語による注文を理解し、複雑なメニューに対する注文処理や追加メニューの提案ができる音声AIエージェントを一部の店舗で導入した(注4)。この取り組みの目的は、注文精度や顧客満足度の向上と、来店人数の多い店舗におけるボトルネックの解消だ。同社は2025年中にAIエージェントを500店舗に導入する予定だ。

AIエージェントを活用している有名企業

 多くの企業はまだ準備段階にあるが、AIエージェントに対する期待は高まっている(注5)。経営層は、AIエージェント導入を進める上での主な課題として、データのセキュリティとプライバシー、レガシー技術との統合の難しさを挙げる(注6)。

 こうした障壁があるにもかかわらず、企業の意欲は依然として高い。AIプラットフォームを提供するTray.aiが2024年12月に発表した調査によると、5社に2社以上が100種類以上のAIエージェントのプロトタイプ開発を計画している(注7)。

 AIエージェントのアーリーアダプターはさまざまな業界に存在する。自動車メーカーのRolls-Royceはサービスデスクの担当者を支援し(注8)(注9)、業務効率化を図るためにAIエージェントを活用している。小売大手のWalmartは商品管理における課題を特定するためにAIエージェントを導入していると2025年2月に発表した(注10)。化粧品大手のEstee Lauderは(注11)、従業員による商品マーケティングや社内データの分析を支援する目的でAIエージェントを活用している。

 ITベンダー各社はAIエージェントの開発を容易にし(注12)、カスタマイズの選択肢を提供するツールをリリースすることで導入のハードルを下げようとしている。それに伴って企業も徐々にAIエージェントの導入を開始している。

 2025年3月の初めにMicrosoftは直近の四半期で40万件以上のカスタムエージェントが同社のCopilot Studioで構築されたと発表した。また、ソフトウェア企業のServiceNowが同年1月に明らかにした内容によると、2024年9月にAIエージェントを導入してから約1000社の顧客が既に活用しているという。

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