Google CloudのAIエージェント戦略の特徴は? 「連携」に動き出した同社の勝算Weekly Memo(1/2 ページ)

Google Cloudが発表したマルチベンダーの「AIエージェント」を連携させる機能にはどれほどのインパクトが期待できるのか。同社のパートナー事業戦略から探る。

» 2025年04月28日 14時10分 公開
[松岡 功ITmedia]

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 現在話題のAIエージェント。この連載では、複数のベンダーが提供するAIエージェント同士の連携による全社単位での生産性向上や、連携の土台となるプラットフォーム事業について各社の動向を追ってきた。

 こうした中、マルチベンダーの「AIエージェント」を連携させる機能が間もなく登場しそうだ。Google Cloudが発表したオープンプロトコル「Agent2Agent」(以下、A2A)が、まさにそれだ。マルチベンダーのAIエージェントを連携させて共同で作業させられれば、各AIエージェントが担う業務領域にとどまらず、企業全体の生産性を上げられるだろう。

 今後、A2Aプロトコルはこの分野にどんな影響を与えるのか。Google Cloudのパートナー事業戦略から探る。

Google Cloudが提供するAIエージェントの特徴は?

 Google Cloudの日本法人であるグーグル・クラウド・ジャパンが2025年4月22日に開いたパートナー事業戦略に関する記者会見で、AIエージェントの最新の取り組みとともに、A2Aプロトコルについて説明した。

 A2AプロトコルはGoogle Cloudが米ラスベガスで2025年4月9日から3日間開催された年次イベント「Google Cloud Next 2025」でその存在が明かされ、今回日本で初めてその概要が発表された。Google CloudのAIエージェント事業についてグーグル・クラウド・ジャパンの平手智行氏(日本代表)が説明した内容から、同社がAIエージェント連携に見いだした「勝算」を探る。

グーグル・クラウド・ジャパンの平手智行氏(筆者撮影)

 「2025年はエンタープライズ領域における『AIエージェント元年』になる」

 会見でこう切り出した平手氏は、AIエージェント事業に注力することを強調した。ちなみに同社はAIエージェントの定義として「人間のように考え、計画し、記憶する」「複数のステップを先読みして自律的に行動できる」「さまざまなソフトウェアやシステムを連携して活用できる」「ユーザーの監督下で動作する」といった4項目を挙げる(図1)。

図1 AIエージェントとは(出典:グーグル・クラウド・ジャパンの会見資料)

 また、AIエージェントがもたらす価値として「サイロ化されたツールを横断しての情報処理や整理」「業務プロセスの自律的かつ動作を柔軟に自動化」「スキルや人材ギャップを埋め、付加価値を創出」の3つを挙げ、それらによって業務の効率化や意思決定の迅速化、競争力の強化などを図れると説いた(図2)。

図2 AIエージェントがもたらす価値(出典:グーグル・クラウド・ジャパンの会見資料)

 平手氏は、1つ目について「さまざまなツールを横断した情報収集が可能になることには大きなインパクトがある。企業でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進むと、業務ごとに異なるベンダーのさまざまなアプリケーションツールが使われる中で、情報のサイロ化を招いてしまうこともあるからだ。AIエージェントはそうした中で自律的な判断をもとにツールを横断して必要な情報を探し出せる」と解説した。

 2つ目についても「AIエージェント同士が連携することで、エンドツーエンドでの業務代行が可能になる」と補足した。これについては1つ目は柔軟なデータ活用、2つ目がAIエージェント同士の連携と読み取ることができる。

 そして、上記のような価値をもたらすGoogle CloudのAIエージェントが「Google Agentspace」である。

図3 Google Agentspaceの概要(出典:グーグル・クラウド・ジャパンの会見資料)

 平手氏は図3を示しながら、「このプラットフォームを利用すれば、AIエージェントが社内に分散しているさまざまなデータや業務アプリケーションと連携してデータを効率よく活用できる。そのために200を超える連携用コネクターを取りそろえている。こうしたソリューションを迅速に提供して、日本のお客さまにAIエージェントを大いに活用いただきたい」と力を込めた。

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