Google Cloudのパートナー施策刷新から探る なぜ、クラウドベンダー大手は「パートナー施策」に注力するのかWeekly Memo(1/2 ページ)

「クラウドサービスをうまく使いたい」というユーザー企業に対し、クラウドベンダーは「ユーザー視点のパートナー施策」に注力している。これはどういうことか。クラウドベンダー大手各社の動きから探る。

» 2023年03月06日 15時30分 公開
[松岡功ITmedia]

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 DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるユーザー企業が「クラウドサービスをうまく使いたい」と考えて自社の要望に合ったソリューションパートナーを探そうとするとき、クラウドベンダーが展開しているパートナー施策はその要望に応えられるか。

Google Cloudがパートナー施策を刷新

 この疑問の背景には、「DXはユーザー企業が自らの手で進める」という認識が広がる中で、DXのデジタル基盤となるクラウドサービスを中心としたソリューションを提供するパートナーも「自らの要望に添って選びたい」という需要が高まってきたことがある。クラウドベンダー大手各社はここにきて、そうした需要に対応するための「ユーザー視点のパートナー施策」に注力し始めている。

 上記の疑問をかねて抱いてきた筆者は、DXが注目され始めた時点からクラウドベンダー大手各社に、ユーザー視点のパートナー施策について取材を進めてきた。

 そんな中、グーグル・クラウド・ジャパンが2023年2月28日に開催した「Google Cloud」の事業戦略会見で、上記の需要の高まりに対応した新施策を打ち出した。実は筆者はこのテーマについて同社にまだ取材してなかったので注目していたところ、これまでになく踏み込んだ内容だったので少々驚いた。

グーグル・クラウド・ジャパンの事業戦略会見。左から平手智行氏(日本代表)、小池裕幸氏(上級執行役員 カスタマーエンジニアリング担当)、石積尚幸氏(上級執行役員 パートナー事業本部)

 会見での事業戦略の概要については速報記事をご覧いただくとして、ここではグーグル・クラウド・ジャパンでパートナー施策を担当する石積尚幸氏(上級執行役員 パートナー事業本部)の話から、ユーザー視点のパートナー施策に関する説明をピックアップして以下に記す。

 同社はこれまで展開してきたパートナープログラムを2023年7月に刷新する予定だ。図1に示した3つの施策がその柱となり、「より適切なパートナーを選択」がユーザー視点の取り組みとなる。その中の「スペシャライゼーション」がパートナー認証で、第三者組織がパートナーのソリューションに対する知識やデリバリー能力を評価し、Google Cloudが認証バッジを発行する形となっている。ちなみに、パートナー認証には他に、Google Cloudが評価する「エキスパティーズ」、Google Cloudが個人に対して付与する認定資格もある。

図1 パートナープログラムの概要(出典:グーグル・クラウド・ジャパンの会見資料)

 これらの認証については以前から実施してきた。同社は今回の強化で、どのパートナーがどの分野でどのようなスペシャライゼーションを保有しているか、ユーザー企業が簡単に検索できる「Partner Directory」というサービスを新たに提供する構えだ(図2)。

図2 Partner Directoryの概要(出典:グーグル・クラウド・ジャパンの会見資料)

 また、認定資格だけでなく技術トレーニングやデリバリースキル、専門知識、さらにはプロジェクトの実績や顧客満足度などを、パートナーが登録する形でスコア化してユーザーに提示する「Delivery Readiness Score」と呼ぶサービスも用意する計画だ(図3)。

図3 Delivery Readiness Scoreの概要(出典:グーグル・クラウド・ジャパンの会見資料)

 これら2つの新たなサービスは、まさしくユーザー視点のパートナー施策といえるだろう。同社のパートナー施策への意気込みが感じられた。

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