いまだ赤字のGoogle Cloud Alphabetはどう考えているかCIO Dive

Alphabetが提供する「Google Cloud」はいまだに赤字だ。しかし、CFOのポラット氏は前向きな姿勢で周囲の期待を高めている。黒字化できる未来はそう遠くないかもしれない。

» 2023年03月06日 08時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 Alphabetが2023年2月2日に発表した第4四半期決算によると、「Google Cloud」の売上高は前年同期比32%増の73億ドルだった(注1)。

 営業利益は2022年12月31日までに4億8000万ドルの損失となり、依然として赤字だった。しかし、Alphabetが2021年の最後の3カ月に報告した、8億9000万ドルの営業損失に比べれば大幅に改善されている。

 AlphabetのCFO(最高財務責任者)であるルース・ポラット氏は決算説明会で、「われわれは長期的な市場機会と事業の軌道に興奮を覚えている。企業や政府は地域横断的なDX(デジタルトランスフォーメーション)構想に向けてわれわれに注目している」と述べた(注2)。

Google Cloudに明るい光は差すのか

 現在Alphabetにとって、クラウドは純収益を生み出すどころかコストセンターになっている。一方、黒字化に向けて少しずつ前進しているのも事実だ。

 クラウド市場をリードするAmazonの「Amazon Web Services」(AWS)やMicrosoftに次いで米国第3位のハイパースケーラーである「Google Cloud Platform」(GCP)は(注3)、収益の伸びが鈍化する中でも2022年は四半期ごとに損失を減らした(注4)。

 AlphabetのCEO(最高経営責任者)であるサンダー・ピチャイ氏は決算説明会で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック時にデジタル関連の支出が大幅に増加し、その後のマクロ経済の情勢はより厳しくなっている」と述べた。

 ポラット氏は「現在クラウド投資が減少しているのは、企業が経済的困難に対応するためにクラウドによる最適化に注力したことに起因する」としている。

 少し前に1万2000人の雇用を削減する計画を発表し、大手テック企業における人員削減の傾向を浮き彫りにしたばかりの同社にとって、クラウドは明るい話題といえる(注5)。

 「われわれはクラウドの黒字化を非常に重視している」(ピチャイ氏)

 クラウド事業の赤字を受けAlphabetは他の分野で支出を減らす努力をしており、サーバやネットワーク機器の見積耐用年数を4年から6年に延長した。これは2022年7月にMicrosoftが実施したコスト削減策と類似している(注6)。

 ポラット氏は決算説明会で「これらの変更は2022年末の資産およびサービスに対して約34億ドル(約4600億円)の好影響を与えると見込んでいる」と述べた。IBMも第4四半期の決算説明会で同様の発表を行っており、これは2億ドル(約270億円)のコスト削減効果があると見込まれている(注7)。

 クラウドの黒字化は簡単ではないが、各社着々と収益を伸ばす方向に動いている。

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