「AIエージェント」が注目される中、今後ユーザーが求めるのが、マルチベンダーのAIエージェントをオーケストレーションさせて企業全体の生産性を上げることだ。巨大なパートナーエコシステムを背景に主導権獲得を狙うSalesforceの戦略から、この分野の動きを探る。
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これまで人間がやってきた業務を代行する「AIエージェント」がITベンダー各社から続々と提供されている。ユーザーニーズとして今後求められるのが、マルチベンダーのAIエージェントをオーケストレーションさせて、企業の業務全体の生産性を上げることだ。
本連載ではこれまでもこのテーマを取り上げてきたが、今回はいち早くAIエージェントの活用に取り組み、上記のユーザーニーズへの対応にも意欲的なSalesforceの話を聞いたので、その内容を紹介しつつ考察したい。
「AIエージェントは『デジタル労働力革命』をもたらす。ITが人に代わって自律的に業務を進めてくれる。このデジタル労働力により、世界的に大きな課題となっている労働力不足に対応できるようになる。これから『人とAIエージェントが共に働く職場』が広がる」
米Salesforceのジム・スティール氏(プレジデント グローバル戦略カスタマー&パートナー担当)は、同社日本法人のセールスフォース・ジャパンが2025年4月8日に開いたAIエージェントのアライランスおよびパートナー戦略に関する記者説明会で、こう切り出した。AIエージェントのインパクトを「デジタル労働力革命」と表現するSalesforceに、この分野への並々ならぬ意気込みを感じた(図1)。
Salesforceは、デジタル労働力を生み出すプラットフォーム「Agentforce」を2024年9月に発表し、日本を含めて同10月下旬に提供を開始した。スティール氏はAgentforceの特徴について「データとAI、業務アプリケーションが単一のプラットフォーム上でつながっており、Agentforceもそのワークフローによって活用できる。同じプラットフォームだからこその連携性や安全性を実現している」と説明した。
提供開始後の動きについては、「私はSalesforceに在籍して23年になるが、こうした新たなイノベーションがこんなに早く採用される状況はこれまで見たことがない」と表現した(図2)。
その活況ぶりの理由について、スティール氏は「Salesforceはオープンで拡張性が高いからだ」と述べた。どういうことか。「AIに不可欠なさまざまなデータをゼロコピーで利用できるパートナーシップや、主要なLLM(大規模言語モデル)およびクラウドインフラのパートナーシップ、そしてSalesforceプラットフォーム上で7000社を超えるソフトウェアベンダーが開発した9000以上の業務アプリケーションやコンポーネントからなるマーケットプレース『AppExchange』による、比類のないパートナーエコシステムを構築しているからだ」と説明した(図3)。
そして、AppExchangeと同様のマーケットプレースをAgentforceでも展開すべく、日本国内でも今回提供を開始したのが「AgentExchange」だ(図4)。
スティール氏によると、「AgentExchangeによって、お客さまはAgentforceを迅速に実装していただけるようになる」とのことだ。詳しくは発表資料をご覧いただきたい。
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