MITREは、暗号資産を含むデジタル金融技術の脅威に対応するサイバーセキュリティフレームワーク「AADAPT」を発表した。MITRE ATT&CKフレームワークの構造を踏襲し、150以上の実世界の攻撃事例に基づくTTPsを体系化している。
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The MITRE Corporation(以下、MITRE)は2025年7月14日(現地時間)、暗号資産を含むデジタル金融システムの脆弱(ぜいじゃく)性に対応するための新たなサイバーセキュリティフレームワーク「AADAPT」(Adversarial Actions in Digital Asset Payment Technologies)を発表した。
AADAPTは、MITREの脅威フレームワーク「MITRE ATT&CK」の構造を踏襲しつつ、デジタル資産決済技術に関連する敵対的な行動を体系的に分類・整理したものだ。開発者や政策立案者、金融機関などを対象に、実際の攻撃事例に基づく戦術と技術、手順(TTPs)を整理し、リスクの特定と軽減を支援することを目的としている。
MITREによると、同フレームワークは150以上の政府機関や産業界、学術機関からの知見を生かして、コンセンサスアルゴリズムやスマートコントラクトといった要素を含む暗号資産技術に固有のリスクに対応できるとしている。
MITREのサイバーテクノロジー部門副社長であるウェン・マスターズ氏は「暗号資産のようなデジタル決済資産は国際金融の未来を形成する技術だが、そのセキュリティ課題については無視できない」とし、AADAPTの活用が関係者にとって実効性の高い対策の構築につながるとの認識を示している。
暗号資産の普及に伴い、二重支出攻撃やフィッシング、ランサムウェアなどの高度な攻撃が増加しており、企業や政府機関、個人利用者に影響が及んでいる。特に中小規模の組織や自治体などは対策に必要な体制を整えることが難しく、こうした現状を踏まえた実用的な支援策としてAADAPTが開発されている。
MITREは、公共および民間の連携を通じて、安全保障や先端技術の分野で国家的・国際的な課題に取り組んできた実績を持つ。今回のフレームワークもその一環として位置付けられており、米国政府機関や政策決定者に対し、暗号資産やステーブルコイン、NFTといった多様なデジタル資産の技術的動向に関して助言している。
AADAPTフレームワークの詳細は、MITREの公式サイトで確認できる。また、Linux Foundationが主催するウェビナーの視聴や、MITREへの直接の問い合わせも受け付けている。
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