LINEヤフー、全従業員向けに生成AI活用ルールを整備 「まずAIに聞く」を徹底AIニュースピックアップ

LINEヤフーは2025年7月より、全従業員を対象に生成AI活用を前提とした新たな働き方を開始した。調査や資料作成、会議など業務の約3割をAIで効率化し、創造的業務への集中を促す。

» 2025年07月22日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 LINEヤフーは2025年7月14日、全従業員約1万1000人を対象に、業務における生成AI活用を前提とした新たな働き方を開始したと発表した。今後3年間で業務生産性を2倍に高め、継続的かつ革新的な成果を創出することを目的としている。この取り組みは、単なるツールの導入にとどまらず、従業員の働き方そのものを再設計し、企業全体の競争力を高めるための戦略的な一歩と位置付けている。

生成AIで働き方を再設計、LINEヤフーの挑戦

 この取り組みではまず、業務の約3割を占める「調査・検索」「資料作成」「会議」などの領域での適用を開始し、具体的な活用ルールを整備する。詳細は以下の通りだ。

  • 調査は生成AIによる初期調査を基本とし、社内規則の確認には独自ツール「SeekAI」、外部情報の取得にはプロンプト例に基づいたAI検索を導入する。これにより、情報収集の時間を短縮し、より深い分析や考察に時間を充てられるようになる
  • イチからの資料作成を行わず、生成AIによるアウトライン構築を徹底した上で文章校正にもAIを活用する。これにより、資料作成にかかる労力を削減し、業務全体の質の向上に集中できる環境を整える
  • 会議は出席者を必要最小限とし、議論に集中できる環境を確保する。議事録作成は全てAIで実施することで、会議後の議事録作成にかかる負担をなくし、参加者は議論の進行に専念できるようになる

 これらのルールは、生成AIの活用を通じて、ルーティンワークを効率化し、従業員がより創造的な業務へ多くの時間を充てるための環境を整備することを目指している。LINEヤフーは、これにより従業員一人一人が持つ潜在能力を最大限に引き出し、新たな価値創造に貢献することを期待している。

 既に各部門には生成AI活用推進者が配置されており、今後は社内表彰制度やアンバサダー制度を通じて利用の拡大を図る考えだ。これにより、社内全体で生成AI活用の成功事例を共有し、さらなる普及と定着を促進する。

 LINEヤフーは、2025年6月より全従業員に「ChatGPT Enterprise」のアカウントを付与している。またリスク管理やプロンプトに関するeラーニング研修の受講と試験合格をAI利用の前提条件としており、従業員のスキル標準化にも取り組んでいる。2025年7月14日時点で、個人向けサービスを中心に51件の生成AIツールが導入済みで、社内では35件以上の業務効率化プロジェクトが進行している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アイティメディアからのお知らせ

注目のテーマ

あなたにおすすめの記事PR