ソフトバンク、AIエージェント間通信の安全性向上技術を開発 A2A、ACPを補完：AIニュースピックアップ

ソフトバンクはAIエージェント間の安全な連携を実現する技術のプロトタイプ開発に成功したと発表した。この技術は異なる管理基準でもAIエージェントが安全に通信できる仕組みを構築し、動的ガバナンス制御や認証・認可などの特徴を持つ。

[後藤大地，有限会社オングス]

　ソフトバンクは2025年7月24日、AIエージェント間の安全な連携を実現する技術「Agent Firewall（仮称）」のプロトタイプ開発に成功したことを発表した。国や企業などが保持するデータの主権を損なうことなく、異なる管理基準やルールのもとでもAIエージェントが安全に通信できる仕組みを構築するものとされている。

AIエージェントの安全な連携を目指す新技術の仕組み

　この技術はA2A（Agent2Agent Protocol）やACP（Agent Communication Protocol）といった通信プロトコルを補完し、プロトコルの種類を問わず一貫したセキュリティ制御を適用できるよう設計されている。

　この技術では通信リスクの程度や求められるセキュリティ水準に応じて検査の強度を自動調整する「動的ガバナンス制御」、信頼されているAIエージェント間のみの通信を許可する「認証・認可」、契約やポリシーに基づく制御と違反検知、改ざん困難な台帳によるログ管理などを特徴としている。

　従来の境界型セキュリティとは異なり、全通信を対象とする“ゼロトラスト”の思想に基づき、必要な通信のみを選択的に監査する構成を採用している。この方式により、セキュリティの確保とシステム負荷の低減の両立を図る。

新技術によるAIエージェント連携のイメージ（出典：ソフトバンクのプレスリリース）

　開発の背景には、複数のAIエージェントが連携して動作するシステムの広がりがある。こうした環境では異なる組織間でのデータ連携において、所在地やアクセス管理基準の差異が障害となる可能性がある。ソフトバンクは、これらの課題を見据えた対応として、本プロトタイプを開発した。

　今後は社内実証や連携企業との検証を通じて、2026年度の実用化を目指す。また「ソブリンクラウド」や「ソブリンAI」などと連携することで、高い機密性が求められるデータの安全な取り扱いにも対応する方針だ。ソフトバンクは、信頼性を備えたAIインフラの構築のために技術開発を継続する構えを示している。