Googleが描く次世代AI戦略「エージェンティックAI」の全貌 パートナー向けのレポートを公開AIニュースピックアップ

GoogleはエージェンティックAIの戦略的意義をまとめたレポートを発表した。Google Cloudのパートナー支援や導入指針、インフラ支援、将来の市場規模などを詳述し、1兆ドル市場の可能性とAI主導の事業変革を展望している。

» 2025年07月26日 08時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Googleは2025年7月18日(現地時間)、次世代AIの潮流とされる「エージェンティックAI(agentic AI)」の戦略的意義をまとめたレポートを発表した。Google CloudのパートナーエコシステムにおけるエージェンティックAIの導入と活用についての取り組み状況を紹介し、今後の事業展開の方向性を示している。

AIが業務を変えるGoogleのエージェンティックAIレポート

 エージェンティックAIとは、自己判断能力を備えたエージェントが複数の業務を遂行し、連携しつつ継続的に価値を創出する技術領域を指す。Googleは既に1000件以上のエージェンティックAIのユースケースが各業界で実装されており、課題解決の具体的な手段として活用が進んでいると述べる。

 Googleによれば、2024年にはGoogle Cloudの増加収益の約80%にパートナーが関与しており、今後も統合型AIの導入が収益性の高い領域として拡大するとみられる。IDCの予測ではGoogle Cloudと連携するグローバルSI(システムインテグレーター)のAI事業は前年比で最大2倍の成長を見込む。エージェンティックAIに関する企業の関心も高まっており、上場企業の公開文書における関連記載件数は前年比で12倍に増加しているという。

 Googleは、エージェンティックAIの実装と事業変革を推進する上で、次の6つの行動指針を提示している。

  1. 顧客の課題に即した試作と差別化の実現
  2. 業務プロセスの再設計を通じた高付加価値の創出
  3. 生成AIと通信プロトコルを活用したデータ整備の迅速化
  4. 業務フローへの大規模なエージェント展開と定着化
  5. 運用や評価、知識の更新を含めたエージェントのライフサイクル管理
  6. 効果に応じた柔軟な商用モデルの構築

 「Vertex AI」を用いたエージェント開発から「BigQuery」によるデータ処理、「Agent Marketplace」による流通支援まで、Google CloudはエージェンティックAIにおける一貫した基盤を提供する。「Agent Development Kit」(ADK)や「Agent2Agent」(A2A)プロトコルといったオープンソース資産も整備されており、100社を超える企業がこれに賛同している。

 Googleは今後もパートナーへの投資を強化する姿勢を示しており、AI案件に関する資金支援を前年比で2倍に増加させたこと、教育プログラムや共同営業の強化により大型案件への対応力を高めていることを明らかにした。

 同日公表の分析レポート「Shaping the Future: The Transformative Potential of Agentic AI and the Strategic Imperative for Google Cloud Partners」ではエージェンティックAIがもたらす経済規模と事業機会を具体的に示している。世界全体で1兆ドル規模の新たな市場が創出される可能性があり、その内米国市場だけで3500億〜4500億ドルに達すると見込まれている(参考:Shaping the Future: The Transformative Potential of Agentic AI and the Strategic Imperative for Google Cloud Partners)。

 本レポートは、エージェンティックAIが業務遂行の在り方に構造的な変化をもたらす可能性に言及しつつ、Google Cloudとそのパートナーが新たな技術領域で果たすべき役割を明確にしている。レポート全文はGoogleより公開されており、今後の動向と併せて注視される。

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