「SAP ERP 6.0」(ECC 6.0)の標準サポート終了が迫る中、国内大手のSaaS事業者が協業を発表した。ECC 6.0を継続利用するための新たな選択肢になるだろうか。
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2027年に迫る「SAP ERP 6.0」(ECC 6.0)の標準サポート終了は、多くの日本企業にとって喫緊の課題となっている。システムの運用継続か刷新かという選択を迫られる中、移行に伴うコスト増大や準備期間の確保は経営上の深刻な問題だ。
この状況に対し、国内大手のSaaS事業者が協業を発表した。この協業は単なる技術提携にとどまらず、日本企業がSAP製品への依存から脱却し、DXへの取り組みを後押しするという。ECC 6.0を継続利用するための新たな選択肢になるだろうか。
セゾンテクノロジーは2025年8月22日、ウイングアーク1st、エイトレッド、サイボウズの3社と協業し、SAP ERPのモダン化を推進すると発表した。基幹システムを分野ごとにオフロードし、各社のSaaSを疎結合させることで、新たなERPを構築する。技術パートナーとしてクレスコ・イー・ソリューションと共同開発したSAP専用のデータ連携コネクターを「HULFT Square」の新機能として今秋から提供する予定だ。
本プロジェクトの要は、ERPへのアドオンを極力削減する点だ。これによって将来のバージョンアップの負担を軽減できる。国内の商習慣に適合したSaaSを柔軟に組み合わせ、iPaaSによる疎結合によってシステム全体を進化させる。ウイングアーク1stはBIや帳票、エイトレッドはワークフロー、サイボウズは業務アプリ開発基盤の構築を担い、これらをHULFT Squareによるデータ連携で統合する仕組みが設計されている。
発表に際し、ウイングアーク1stは帳票基盤「SVF」を通じた長年の実績を生かし、柔軟なデータ基盤と分析の高度化を支援するとした。エイトレッドは意思決定を迅速にするワークフロー基盤を提供し、レガシーシステム脱却への推進力を強調した。サイボウズは「kintone」によって企業固有の業務課題に柔軟対応することを訴求した。これにより、SAP依存からの脱却とDX推進が同時に可能となるという。
クレスコ・イー・ソリューションは、SAPに強みを持つ立場から参加した。同社が共同開発するSAP専用のデータ連携コネクターは、HULFT Squareとの組み合わせによってブラックボックス化やバージョンアップの制約を打破する可能性を秘める。これにより、企業は最適なSaaSを自由に選択して組み合わせ、より柔軟かつ効率的なERP基盤を実現できる。これはSAPユーザーの課題解決に直結するものであり、多くの企業の成長を支える基盤になると位置付けられる。
セゾンテクノロジーは、この構成をERPモダン化ソリューションとしてERP構築パートナーに提供し、日本企業全体のシステム刷新に広げる計画を示した。2025年10月開催予定の「SAISON Technology Days 2025」ではパネルディスカッションを通じて詳細が議論される予定だ。
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