もう「不当評価」と言わせない オプテージは人事評価にどう生成AIを活用したか

人事評価において、従業員の目標設定や上司からのフィードバックの質に課題を抱えている企業は多く存在する。この解消に向けてオプテージは生成AIによるアドバイスを活用した。一体どのように評価に生成AIを取り入れたのか。

» 2025年09月01日 07時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

 通信事業や電力事業を手掛け、「多様な人材が力を発揮できる組織づくり」を掲げるオプテージは、上司と部下の対話を重視した人事制度を運用してきた。しかし、従業員の目標設定における記述の質や、自己評価の一貫性、上司からのフィードバックの精度といった点に課題を抱えていた。

 この状況を踏まえ、同社は生成AIによるアドバイスを活用することで、従業員がより明確で質の高い目標設定をしているという。SMART原則に基づいたAIの助言により、目標の具体性や達成可能性が向上し、従業員一人一人のパフォーマンスを最大化させる方法とは。

AI活用で目標設定、フィードバックの質を向上

 プラスアルファ・コンサルティングは2025年8月28日、同社が提供するタレントマネジメントシステム「Talent Palette」(タレントパレット)を活用し、オプテージの目標設定フィードバックの高度化を生成AIコンサルティングによって支援したと発表した。オプテージでは従業員の自律的なキャリア形成を推進し、組織全体の持続的な成長につなげる取り組みの一環として導入されている。

 今回導入されているAIアドバイスは、従業員が目標を設定した際にワンクリックで内容に関する助言を受けられる仕組みだ。アドバイスはSMART原則に基づいて生成され、具体性や測定可能性、達成可能性、関連性、期限の明確性といった要素を含むことで、従業員の目標達成精度を高める効果が期待されている。従業員は自身の目標設定を精緻にできるため、パフォーマンス向上と組織全体の成果向上につながるという。

「適切な目標設定」に向けたAIアドバイス機能(出典:プラスアルファ・コンサルティング)

 上司にとってもAIアドバイスは有用だ。人事評価は期末効果やハロー効果など、評価者の主観による偏りが発生することが知られている。AIアドバイスを活用することで、評価エラーの抑制や客観的な視点の確保が可能になる。従業員の育成を意識した具体的なフィードバックをできるようになり、部下の成長やエンゲージメント向上を後押しする効果が見込まれている。

 プラスアルファ・コンサルティングは、導入に際してオプテージの等級制度や従業員の役割に合わせてAIプロンプトの最適化を実施し、企業独自の評価基準に即したフィードバックができるよう調整した。単なるシステム導入だけでなく、実際の人事運用に適合した形でAI機能を実装している。オプテージは今後、蓄積されている人材データを活用し、従業員のスキルや志向に応じた最適配置など、戦略的人事施策にも生成AIを拡張する方針だ。

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