りそな銀行は、ファンドラップ事業拡大に向けたシステム刷新で、国内初となる銀行システムの本番環境にAWS Outpostsを導入した。データセンターとクラウドを融合させることによる狙いとは。
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りそな銀行は、長期分散投資の知見を生かした資産運用サービス「ファンドラップ」を提供しており、りそなグループ各行や提携する地方銀行で利用されている。販売網の拡大とサービス向上に対応するため、老朽化した既存システムを刷新し、安全性と信頼性を兼ね備えた新たな基盤の構築が求められていた。
そこで同社は、クラウドサービスを自社のデータセンターで利用可能にする「AWS Outposts」を採用した。これは銀行システムの本番環境に導入した国内初の事例となる。
日本アイ・ビー・エム(以下IBM)は2025年9月8日、りそなデジタル・アイと協力し、りそな銀行のファンドラップ・システム基盤をAWS Outpostsによって刷新したと発表した。
AWS Outpostsは、クラウドサービスを自社データセンター内で利用可能とする仕組みだ。今回の構築により、りそな銀行は信頼性の高い自社データセンターにクラウド基盤を設置し、重要なデータを内部に保持したままAWSが持つ柔軟性と拡張性を利用できるようになった。AWS Outpostsに搭載されている「AWS Nitro System」により、システムリソースを分離して処理性能を向上させると同時に、ハードウェアやファームウェアを継続的に監視、保護、検証する仕組みが備わり、セキュリティの強化にもつながっている。加えて、AWSリージョンとの接続が一時的に途絶した場合でも、AWS OutpostsによってAWSサービスが稼働を継続するため、システム全体の可用性を維持できる。
構築に当たり、りそなデジタル・アイとIBMは、りそな銀行が定めたセキュリティ基準を踏まえ、複数のAWSサービスを組み合わせて複雑な要件に対応した。これにより、銀行の基幹業務を支えるシステムに求められる高い可用性を確保し、りそなグループのオープンプラットフォーム戦略を支える新基盤を実現している。システムの運用と保守も両社が担い、継続的に支援している。
今回の刷新によって、りそな銀行はデータセンターとクラウド双方の利点を融合させた次世代基盤を整備し、ファンドラップ事業の拡大やサービス強化に柔軟に対応できる体制が整ったとされる。
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