ITエンジニアの新卒採用が構造変化 「企業の育成力」が試される

ITエンジニアの新卒就職者は4年連続で増加したが、伸び率は鈍化。人材の多様化が進む中、企業には基礎から実務能力を習得させる育成力が不可欠となっている。

» 2026年04月02日 10時45分 公開

 ITエンジニアを志望する新卒市場の構造が変化している。4年連続で就職者数は増加しているものの、その内実は「専門層の減少」と「多様化の進展」という、企業の育成力が試されるフェーズへの突入を示唆している。

IT人材の構成変化が鮮明に

 ヒューマンリソシアは2026年3月27日、ITエンジニアを志望する新卒の就職動向に関する分析結果を公表した。同社の分析レポートは文部科学省の「学校基本調査」を基に、大学院や大学、短大、高専、専修学校の卒業者のうち情報処理・通信分野に就職した人数を集計、分析したものだ。

 2025年3月卒業者においてはITエンジニアとして就職した人数は約6.1万人で、前年から0.7%増となり、4年連続の増加となった。ただし、増加幅は縮小しており、需要の高さに比べ供給の伸びが緩やかになっている状況が分かる。

新卒ITエンジニアの採用数は微増だ(出典:ヒューマンリソシアのプレスリリース)

 男女別においては、男性は2015年の約2.8万人から2025年には約4.4万人へ増加した。女性は同期間で約0.9万人から約1.7万人へと拡大し、伸び率では男性を上回った。就職者全体に占める女性比率は28.0%となった。

 学歴別においては、大学院修了者の減少が目立つ。修士・博士課程修了者のITエンジニア就職者は前年から3.4%減少し、1万人を下回った。2017年以降続いていた増加傾向が途切れ、9年ぶりの減少となった。

 出身分野にも変化が見られる。2015年時点では理系専攻と非理系専攻はほぼ同程度だったが、その後は非理系出身者の増加が顕著となった。2025年には理系出身者が約1.5万人で過去10年で約1.4倍となったのに対し、非理系出身者は約2.5万人と約2.3倍に拡大した。

 理系学生におけるIT職就職者の比率を見ると、男性は緩やかな増加傾向にあるが、女性は直近で持ち直したものの長期的には低下傾向にある。こうした状況は、IT人材不足の解消への課題を示している。とくに女性の参入拡大には、働き方や待遇の改善を含めた職種としての魅力向上が求められる。

 今回の結果では就職者数の伸びが鈍化する中で、専門性の高い大学院修了者が減少し、非理系出身者が増えるという構造変化が確認された。テクノロジーの高度化を続ける状況下において、人材のバックグラウンドは多様化している。

 このような状況に対応するためには、企業は「完成された人材」を市場に探す従来の採用スタイルを捨て、採用後の教育体制の充実が不可欠となるというのがヒューマンリソシアの見解だ。同レポートは、基礎知識や実務能力を段階的に習得させる仕組みの整備が、今後の人材確保と競争力強化の鍵を握るとしている。

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