IDCによると、2024〜2029年で日本のITサービス市場は世界平均の約2倍のペースで成長する見込みだ。世界平均を大きく上回るペースの裏には、日本企業の8割超が抱える「重荷」がある。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
IT専門の調査会社IDCによると、日本のITサービス市場は2024〜2029年で年平均6.6%の成長が見込まれる。これは世界平均3.6%の約2倍のペースだ。日本市場の高成長が予測される背景には、日本固有の事情がある。長年にわたって積み上げてきたITシステムと、それを支えてきた人材構造が転換点を迎えつつある点だ。
ITサービス市場拡大の主役を担うのは、特定のセグメントだ。日本の大企業と中堅企業の約8割に共通する「重荷」の解消が、その成長エンジンとなっている。日本企業の多くが抱える「重荷」の正体とは。
その重荷とは、基幹系のレガシーシステムだ。これらの刷新需要がITサービス市場とITモダナイゼーション市場を大きく成長させる見込みだ。IDCが算出した国内ITモダナイゼーションサービス市場は、2025年の1兆3040億円から2030年は2兆1230億円に、年平均10.2%で拡大する見込みだ。
この成長を押し上げる要因として、IDCは次の3つの構造要因を挙げる。
IDCは刷新手法を「リホスト」「リライト」「リビルド」の3類型に分類している。
IDCによると、短期的にはリビルドに次ぐ規模としてリホスト需要が市場を下支えする。富士通メインフレームの保守終了を控えた企業のニーズが市場をけん引する構図だ。ただし、リホストのニーズは成熟期に入りつつあり、中長期的にはマイナス成長に転じる。中長期的には、リライトやリファクタリング(編注:既存コードの動作を変えずに内部構造を整理する作業)やマイクロサービス化、クラウドネイティブアーキテクチャの採用といったアプリケーション刷新の領域に移ると同社はみている。
ユーザー企業側がITサービス企業に求める役割も変化している。IDCによると、レガシーシステムへの依存度が高い大企業や中堅企業は、単なる技術的な実行役ではなく変革のパートナーを求めている。
特に金融サービス分野では、クラウドネイティブなアプリケーション開発能力、すなわち近代的なインフラで素早くイノベーションを起こす能力に関心が集中している。製造や流通の分野では、基盤刷新にとどまらず、業務に効率性とインテリジェンスを組み込むビジネスプロセスの変革支援がより優先的に求められている。
全分野を通じて、ユーザー企業の主要な購買基準はビジネス成果に移りつつある。高い技術力を前提とした上で、価値創出が差別化要因となるとIDCは指摘する。
富士通とNECの業績見通しから探る「2026年度国内IT需要の行方」
米2強が狙う“AI社員”の普及 Anthropicは「業務代行」、OpenAIは「運用プラットフォーム」
「日本のDXは期待外れ」が64% 世界平均を大きく上回るとGartnerが警告
NECが人材育成サービスを刷新 「今後必要とされる人材像」を再定義した背景Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.