キング・オブ・モーターサイクルとも称される「ハーレーダビッドソン(HARLEY-DAVIDSON)」。1903年に米国のウィスコンシン州ミルウォーキーで産声を上げてから、2023年で120年を迎えます。
ハーレーの代名詞とも言えるV型2気筒エンジン、いわゆるVツインが誕生したのは1909年のことで、進化と改良を重ねながら現在に至っています。長い歴史と伝統に裏打ちされたハーレーの魅力について紹介しましょう。
モーターサイクル&自転車ジャーナリスト。短大卒業後、好きが高じて二輪雑誌の編集プロダクションに就職し、6年の経験を積んだのちフリーランスへ。ニューモデルの試乗記事だけでもこれまでに1500本以上執筆し、現在進行形で増加中だ。また、中学〜工高時代はロードバイクにものめりこんでいたことから、10年前から自転車雑誌にも寄稿している。キャンプツーリングも古くからの趣味の一つであり、アウトドア系ギアにも明るい。
ズドドドドッという力強さを感じさせる排気音に、その発信源にふさわしい大柄な車体。それを個性的なウェアで身を固めたライダーが軽々と操っている……。バイクに詳しくない人でも、ハーレーと聞けばそんなイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。
2023年、日本で販売されているハーレーのラインアップは全27機種で、「スポーツ」「クルーザー」「グランド・アメリカン・ツーリング」「アドベンチャーツーリング」「トライク」の5つのファミリーで構成されています。
エンジンの排気量が最も小さいのは、スポーツファミリーに属する「ナイトスター/ナイトスタースペシャル」の975ccです。つまり、日本でハーレーに乗るには大型二輪免許が必要となります。
このナイトスターがラインアップの中で一番安価な設定なのですが、それでも販売価格は226万3800円〜なので、ライセンスの面でも価格の面でもハードルは高いと言えるでしょう。
ちなみに、現行のハーレーで最も排気量が大きいエンジンは、「ミルウォーキーエイト117」と名付けられたVツインの1923ccです。ほとんど2000ccと言っても良く、乗用車並みの巨大なエンジンを搭載しているのが今のハーレーなのです。
ハーレーの中でも世界的に人気が高いのは、グランド・アメリカン・ツーリングファミリーです。その名のとおり、アメリカ大陸を横断するような超が付くほどの長距離を快適に移動するために設計されたモデル群で、創立以来ハーレーが追い求めてきた性能なのです。
グランド・アメリカン・ツーリングファミリーは、最も軽いモデルで350kg、最も重いモデルで420kgオーバーします。エンジンの排気量が大きいほど発生する出力も高くなり、それを支えるためにフレームや足周りなどを頑丈に設計する必要があります。
また、外装を構成するパーツの多くを質感の高い金属製としているため、その結果としてハーレーの車体は重くなってしまうのです。
車体の押し引きは、とにかく重いです。駐車場のように地面が水平で、なおかつ平滑であればまだ何とかなるのですが、少しでも傾斜していたり凸凹があったりすると、男性でも音を上げてしまうほど動きません。
ところがいざ走り始めると、うそのように車体が軽く動くのです。人が小走りする程度の速度になると、裏道を右左折するようなタイトターンもスイスイとできてしまいます。さらにワインディングロードでは、この巨体から想像できないほどスポーティーなハンドリングを披露してくれます。
これは特にグランド・アメリカン・ツーリングファミリーで顕著です。米国でもこのシリーズを購入できるのは裕福な高齢者が多く、そんな彼らでも軽々と扱えるように進化してきたのがハーレーなのです。
スポーツファミリーやアドベンチャーツーリングファミリーは、設計の新しい975cc/1252ccの水冷60度Vツインエンジンを搭載していますが、主力モデルのパワーユニットは1745cc/1868cc/1923ccの空油冷45度Vツインです。
現行の「ミルウォーキーエイト」と呼ばれるVツインエンジンは2017年モデルから採用されていますが、前後のシリンダーの挟み角を45度とした基本フォーマットは、1909年から一切変わっていないのです。
筆者はここ2〜3年の間に「ストリードグライド」や「トライグライドウルトラ」(フロント1輪、リヤ2輪の3輪バイク)に試乗したことがあるのですが、ミルウォーキーエイトは溢れるほどのトルク感と、巡航時の優しいパルスフィールが特徴で、長時間走り続けても飽きることがありません。力強いからこそ350kgを超える巨体を軽々と扱うことができるのです。
シフトチェンジをするときの、重い歯車を移動して噛み合わせているような感触も独特で、それら全てがハーレーのVツインの魅力と言えるでしょう。
実は2023年に入って、ハーレーダビッドソンは中国市場向けに「X350」と「X500」というブランニューモデルを投入しました。エンジンはどちらもVツインではなく水冷並列2気筒ですが、注目すべきは「X350」の排気量が353ccということです。
果たして日本市場にも導入されるのか、もしそうならいつごろなのかなど、正式なアナウンスはありませんが、もしリリースされれば「普通二輪免許で乗れるハーレー」として注目されることは間違いないでしょう。続報が入り次第、お伝えしたいと思います。
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