e-mailマーケティングの手法とその効果測定From Netinsider(14)

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» 2001年01月16日 12時00分 公開
[Vagabond,@IT]

<vol.14の内容>

携帯電話/PHSユーザー利用実態調査(1)

携帯電話・PHSの利用実態、利用ニーズを1万人にアンケート(対象は社会情報サービス社のインターネット専用モニター)。第1回目の今回は加入状況と今後の加入意向を探った


「カレンの提案するe-mailマーケティングの実際」

株式会社カレンの甲斐氏によるe-mailマーケティングの手法や実例を交えたコラム。プロモーションの展開方法やメールサービスの概要などを詳しく解説




■■ マーケットレポート■■
携帯電話/PHSユーザー利用実態調査



第1回 通信会社に対する評価

〜今後の加入意向はドコモがダントツでトップ、
PHS各社への加入意向は低い〜

ネットインサイダー編集部とモバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF:http://www.mcfnet.com/ )では、携帯電話/PHSの利用実態及び今後の利用者ニーズを明らかにすべく、1万人にアンケート調査を実施した。その結果を本誌面で6回に分けて報告する。詳細なレポートは資料として発売されている。

調査対象、概要、詳細レポートなどについては、下記URLを参照
http://www.vagabond.co.jp//vv/p-mo01.htm

要約

  • 現在加入している通信会社については、やはりNTTドコモが44%と、2位J-PHONEの倍の数値を叩き出している。
  • 今後の加入意向についても、NTTドコモが62%とダントツで、中期的にはドコモの一層の寡占状態が予測される。なお、NTTドコモは年齢別に見ると30代での加入意向が特に高くなっている。
  • 今後の加入意向が現在の加入よりも低い会社は、J-PHONEの他に、NTTドコモを除く、PHSの各社となった。
  • 今後の加入意向が最も高かったNTTドコモについて、今後所有したい機種を聞いてみたところ、N502it、P209is、P209iの順となった。

現在加入している通信会社と今後加入したい通信会社

順位 通信会社 現在加入(%) 今後加入(%)
1 NTTドコモ 44.1 62.5
2 J-PHONE(※) 22.1 20.5
3 au 15.5 20.2
4 DDIポケット 11.1 7.6
5 NTTドコモ(PHS) 7.1 7.3
6 ツーカー 7.3 5.3
7 アステル 3.4 2.1
8 その他 0.2 0.3

※J-PHONEにはデジタルツーカーを含んでいる
(データ引用は編集部までご連絡ください netinsider@vagabond.ne.jp )



■■ 特 集 ■■ 
カレンの提案するe-mailマーケティングの実際




 電子メールを活用したマーケティング活動は、あたりまえのものとなりつつある。簡便なプッシュ・ツールであり、定常的なコミュニケーション・ツールで、しかも安価という特徴を持つ電子メールは、企業のマーケティングの強力なツールといえる。

 しかし、その効果を測定し、評価する方法論は確立されていない。さまざまな新しい手法はでてくるものの、実態は暗中模索といえるだろう。1つの文章、一言のキーワードで利用者の反応が変わってくるのが、e-mailマーケティングである。すばやく効果を測定し、必要な対策を迅速に講じることが、効果的なマーケティングには不可欠である。

 今回は、e-mailマーケティングの専門集団である株式会社カレンのASP事業部部長の甲斐氏に、具体的な事例、数値を挙げていただきながら、紹介を行っていただいた。

1 どのように効果測定→仮説を立てていくのか?

訴求軸手法

 プロモーションのケースで大まかにいえば、「どんな人が、どんな情報に反応(クリック・申込)したのか」というところが仮説検証のもとになる「材料」ですね。

 「どんな人が……」といった場合、一般的には年齢・性別・居住地・職業など、「どんな情報に……」といった場合には「商品/サービス」を基点にすることが多いのですが、弊社の場合、これに「訴求軸」というものを加えて効果測定するケースが多いです。「訴求軸」とは簡単にいってしまうと……

− この人はどんな【勧め方】をされると「ヨワい」のか −

という軸のことで、つまり既存広告メディアのクリエイティブでいうところの「キャッチコピー」の考え方です。

 ただキャッチコピーの場合、どうしても「個人の感性(主観)」的な部分に依存するところが大きいので、ノウハウやデータとして蓄積しづらい、それでは、正確な効果測定ができるインターネットプロモーションの魅力がうすれてしまうことになりかねません。

 そこで弊社では「訴求軸」という9つの軸を設け「誰が、どの訴求軸で反応したのか」を数値データとしてストックしておくことで、一歩踏み込んだ効果測定を行なっています。

2 実証していくまでの方法

弊社でご提案するプロモーションの大まかな流れでいくと、

テスト展開 → 検証 → 本番プロモーション(大規模展開)



といったパターンが多いのですが、具体的には以下のように進めていきます。

テスト展開

 全く同じ属性の人を同数でいくつかのグループに分け、ヘッドのキャッチコピーの「訴求軸」を変えて、同時に配信する。

※ポイント

  • テスト展開媒体は「一斉配信型」ではなく「セグメント配信型」を選ぶ
  • テスト展開媒体は反応した人の属性などが細かく把握できるものを選ぶ

(弊社では「iMiネット(運営:富士通 http://www.imi.ne.jp/)」を利用させていただくことが多いです。)

検 証

 各キャッチコピーのレスポンス結果を分析。本番のプロモーション用の媒体、展開するキャッチコピーを決定する。

※ポイント

  • 単純に「クリック率」を見るだけではなく、どんな属性の人たちが反応したのかまでを見ていき、媒体の選定をすると、本番プロモーションで商品/サービスの本来のターゲットに訴求することができます。

本番プロモーション

 どの案件もそれなりに興味深い結果がでますが、先に述べた典型的なパターンで、ある機能性飲料プロモーションを展開したときの具体例をあげますと、

  • 全く同じ属性の人を機械的に、3グループに分ける
  • 「訴求軸」の違う3種類のコピーを用意し、テスト展開

※このケースでは9つの軸のうち、以下の3つでテストを実施。

【悩み解決型】 「睡眠不足?それともお疲れ? 〜 」
【権威型】 「スチュワーデスがオススメ! 〜 」
【流行型】 「人気沸騰!美しさの秘訣!  〜 」

★結果(クリック率)は……

【悩み解決型】 3.9%
【権威型】 6.2%
【流行型】 3.8%

と、【権威型】が他を2ポイント以上引き離した、という結果でした。さらにクリック率を細かく見ていくと、属性毎にかなりが差が出ていることがわかりました。

【悩み解決型】 40代女性に圧倒的に効果あり(13.2%)
【権威型】 各属性で比較的まんべんなく高い数字を維持(MAX:10.0%)
【流行型】 10代の男性から高いレスポンスあり(11.1%)

ということは、この商品が、仮に40代の女性をメインターゲットと想定していた場合、本番のプロモーション展開では【悩み解決型】コピーを使って、主婦の集まっていそうな媒体に出稿する、という手もあるわけです。

4 開始されるASP事業でその成果をどう活かしていくのか

 弊社が本来、コアにしているビジネスは単純な広告ではなく、その後のフォロー、つまり、広告などで集めた「見込み客」から、いかにして「顧客」になっていただくかという部分です。

 どのようなタイミングで、誰に、どのような情報を配信していけばよい効果が得られるのか、という経験値とノウハウを弊社はもっていますので、そのノウハウをもって、どんな機能が必要で、どうすれば使いやすいかを考えて、レンタルアプリケーションとしてご提供することで、もっと広く、気軽にメールをマーケティングに活用していただこうというのが出発点です。

5 「メールキング」のサービス概要

 一言でいえば「ビジネス向けメール配信システムのレンタルサービス」というところでしょうか。

 誰がどんな情報に反応したかわかる「クリックカウント機能」やメール本文の一部分だけ、属性毎に異なるコンテンツを差し込んで配信できる「One-to-Oneコンテンツ差し換え機能」など、すでに、かなりメールをマーケティングに活用されている方にもご満足いただける機能をご用意しています。

このシステムをすべてのオペレーションがWebで可能な「レンタルアプリケーション」としてご提供します。

6 今後のメール市場の動向予測・検証してみたい仮説

 相対的に見てここしばらくは、ユーザ増加傾向にあるのは間違いないとは思いますが、直近で特に注目しているのは、携帯電話でのメール利用状況です。

 最近、知人から聞いて結構驚いたのですが、携帯電話のメールアンケートを実施した際に、実に6割の方が、パソコンを利用せずに携帯電話だけでメールを利用しているという結果がでたそうです。

 iモード加入者のあの勢いとあわせて考えてみると、パソコンとはまた別の市場だと認識する必要があるのかもしれませんね。

 そんなわけで、近いうちに携帯とパソコンのユーザー意識の違いといったあたりの調査を実施したいと考えています。

甲斐 直樹(かい なおき)
株式会社カレン ASP事業部 部長
略 歴
1967年6月 東京都生まれ
1999年10月 PCメーカー系SE、マーケティング会社を経て株式会社カレン入社
2000年4月 株式会社カレン ASP事業部長

次回「From Netinsider Vol.15」の掲載は1月23日の予定です

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