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<vol.23の内容>
「インタビュー特集:コンパックコンピュータ株式会社
コマーシャルビジネス統括本部 インターネットプロダクト部 部長 湯浅 茂氏 (2)」
ビジネスポータル「b2bpot.com」は、1個人ではなく、1従業員が日々使うためのサイトであり、コンセプトは「BtoE(Business to Employee)」である
2000年9月4日、PC出荷台数世界一を誇るコンパックが新たな戦略を発表した。「iPAQ(アイパック)」と銘打たれたそのビジネスは、BtoB(企業間電子商取引)やBtoE(従業員、企業内個人向け電子商取引)市場をターゲットとし、ビジネスの生産性を向上させるインターネット・コンピューティング環境を提供するものである。
今回は同社コマーシャルビジネス統括本部 インターネットプロダクト部 部長 湯浅茂氏に、iPAQのビジネスモデルとその展望についてお話をうかがった。2000年10月4日、天王洲の本社をお訪ねして実施したインタビューの第2回目をお届けする。
――iPAQインターネット・デバイスに対し、競合とお考えのものはありますか?
湯浅: 同じようなコンセプトでヒューレット・パッカードさんも発売していらっしゃいますが、既存のPCのボードをそのまま流用していらっしゃるようです。つまり表現は悪いですが「小手先で」見せている、といえるでしょう。私どもは新たに専用ボードも設計しております。そういった意味では価格帯も違いますし、競合といえるものは現状ではありません。
――位置付けとして、御社の従来の事業核である「パーソナル・コンピュータの販売」、つまりハードを売って収益を得る、というモデルは変わらないと考えてよいのでしょうか。
湯浅: そうですね。変わらないといえるでしょう。肝心なのは、そこにどのようなサービスを付加してゆくか、ということです。私どもが開設したビジネス・ポータル「b2bpot.com」は、インターネット上のオープンなサイトですが、デバイスに装備してあるボタンから、直接アクセスできるようになっています。ある意味それも、付加価値といえるでしょう。
――ビジネス・ポータル「b2bpot.com」もデバイス同様、アメリカで実施されているのですか?
湯浅: はい。アメリカで行ったシナリオを踏襲しています。と申しましても、アメリカの場合はハードの出荷に比べ、ポータルの開設が遅れました。私どもでは、両者を同時に始めることが大前提でしたので、実際のところハードの発表をサイトが立ち上がる状態まで控えましたね。
1999年11月にアメリカで発売されたデバイスを、あえて2000年9月までひっぱった主たる理由は、「b2bpot.com」と同時でなければ、プロダクトとしての意味が希薄になる、と考えたからです。
――“インターネットにアクセスする”ことを最優先とするデバイスは、とりもなおさず“「b2bpot.com」にアクセスする”ことを前提としているのですね。
湯浅: そのとおりです。「b2bpot.com」のコンセプトについてお話ししますと、私どもではBtoBとBtoCの中間に位置するものとして、「BtoE」という概念を構えています。このBtoE、さまざまなメディアで各社さんがうたっているのを目にしますが、それぞれの解釈が違いますね。BtoEすなわち福利厚生である、といったような、私どもからすれば少々ピンとこないような考えもあるようです。
私どもが考えるBtoEは「Business to Employee」、すなわち従業員、企業内個人向けの電子商取引。つまり、毎日PCを使用する一般サラリーマンが使ううえでの効果的なサービス、情報の提供です。
同時にBtoBも、「b2bpot.com」には含まれます。企業が企業として使用できる有効なサービス。最初の理念でいうところの、“インターネットを活用することによりビジネスの生産性を向上させる”ことに直結します。
――こちらのサイトに関して、競合とお考えのところはありますか?
湯浅: ご存じのとおり、さまざまなポータルサイトがインターネット上に存在しています。しかしながら、それらをよく見てみると、得てしてコンシューマに特化していたり、ビジネス系のものです、とサービス一覧があるだけだったりと、私どもとコンセプトを同じくするようなサイトは存在していない、という見解です。
ビジネスマンが常日ごろ見ているポータルにしても、コンサートチケット情報や芸能ニュース、果ては出会い系のサイトがトップページに目立つように置いてある。囲い込みをしたいがための措置なのでしょうが、そのようなものは会社で見るものではない、見てもらっては困る、と考えるのは会社として当然のことです。
つまり、そのようなコンテンツは表に出てこない方がよいわけで、私どもはそういったものはトップページから一切排除しました。逆に、ビジネスマンにとっては有効だが、奥の方に入り込んでしまっているサービス、例えば出張に関する手配や準備などのサービスを前面に置いています。1個人ではなく、1従業員が日々使うためのサイト、といえるでしょう。
――グループウェアを提供するメーカーが、グループウェアそのものにポータルへアクセスできる機能を付加して、なおかつ自社でそのポータルを作り上げてしまえば、潜在的には競合になり得ますね。
湯浅: グループウェアを導入している企業さんはまだ少ないと思いますが、その可能性はありますね。しかしながらグループウェアは“ソフト”であり、私どもはそれ以前の環境である“ハード”からアクセスできることが、環境を整える順番として考えれば1つの強みになります。
最終的には、サイト上でどのようなサービスを提供できるかが重要になってくると思います。基本的にBtoEは無償、BtoBは質の高い有償のものをそろえていく予定です。双方に向けたコンテンツやサービスがそろい、ワンストップ・サイトになればと思っています。
――「b2bpot.com」に携わっている各企業のスタンスはどのようになっていますか?
(次号へつづく)
| 湯浅茂氏 略歴 | |
|---|---|
| 1982年 | 読売新聞社 入社 制作システム部 |
| 1991年 | DEC社主催の人工知能開発プログラムに参加のため留学 |
| 1995年 | アップルコンピュータ株式会社 入社 マーケティング部 |
| 2000年 | コンパックコンピュータ株式会社 入社 現職に至る |
(取材:Netinsider編集部 / 文:古場 俊明)
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